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2016.12.5 07:03
★【ヤルタ密約秘話】英外務省、露の北方領土領有の根拠「ヤルタ密約」に疑念 「ルーズベルト米大統領が越権署名」 外交公電で全在外公館に警告
【ロンドン=岡部伸】ロシアがソ連時代から北方領土領有を主張する最有力根拠
としてきた「ヤルタ密約」(ヤルタ協定のうち極東密約)の有効性について、ルーズベルト
米大統領が権限を越えて署名し米議会で批准されていないことを引き合いに、
英政府が大戦終了後の1946年2月に疑念を示していたことが英国立公文書館
所蔵の英外交電報で明らかになった。=3面に「露の四島占拠根拠なし」
電報は、米英ソ3カ国が同11日にヤルタ密約を公表する2日前の9日、
英外務省から全世界の在外英公館54カ所に「緊急かつ極秘」に一斉に送られた。
電報の冒頭には「ソ連のスターリン首相、ルーズベルト米大統領、チャーチル英首相が
45年2月11日にクリミア会議(ヤルタ会談)でソ連の対日参戦条件について極秘に
合意した密約内容の文書が含まれる」と記され、米英ソ3政府が合意から1年後に
あたる46年2月11日に、それぞれの議会で合意文書を発表するとしていた。
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「ソ連の樺太、千島列島の占拠は日本が敗戦するという文脈の中で取り扱われるべきだ」
とした上で、「ルーズベルト大統領が権限を越えて署名したことや、米上院の批准もない
状況下での有効性について米国内で論議が起こるかもしれない」として、
「(英国は)その議論に巻き込まれないよう注意すべきだ」と警告している。
ソ連はヤルタ密約を根拠に当時有効だった日ソ中立条約を破棄し、満州(中国東北部)や
北方四島に侵攻し占領。後継国家のロシアも北方領土の領有権を主張してきた。
一方、米国では53年に就任した共和党のアイゼンハワー大統領が年頭教書演説で、
「あらゆる秘密協定を破棄する」と宣言して問題が表面化。56年には、アイゼンハワー政権が
「ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米政府の公式文書でなく無効」との国務省
声明を発表し、ソ連の領土占有に法的根拠がないとの立場を鮮明にした。
一方、当事国の一つである英国は立場を明らかにしてこなかったが、チャーチル首相が
41年8月、ルーズベルト大統領と領土不拡大の原則をうたう大西洋憲章に署名している。
今回の電報を通じ、密約が大西洋憲章に反するとの英政府の46年当時からの認識が示された形だ。
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