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★資金不足で相談苦境に 外国人支援の信愛塾
2016年12月01日 17時09分 カナロコ by 神奈川新聞
アジア諸国などからの外国人が多く生活する横浜市。同市南区を拠点に子どもを中心に
外国人を支援しているNPO法人「在日外国人教育生活相談センター・信愛塾」の
相談活動が、資金不足で苦境に陥っている。近年、外国人の増加に伴い相談数は
右肩上がりで、深刻なケースが増えている。一方、活動資金としていた行政の助成金の
期間が満了となったことで財政的に限界に近付き、従来のような活動の継続が困難と
なりかねない状況だ。同法人は「子どもの生命、学習権に関わるケースも少なくない。
なんとか相談を続けたい」と、支援を呼び掛けている。
信愛塾に寄せられる相談は教育、保育に関するものから在留資格や医療、出産、入居関係までと、
幅広い。外国人女性が日本人男性との離婚、ドメスティックバイオレンス(DV)に悩むケースも
目立ち、学齢期の子どもを学校に行かせることができず、頼る人もいないまま困窮している例が少なくない。
対応言語は中国、タガログ(フィリピン)、インドネシア、韓国などアジア圏の言語が中心で、
女性からの相談が9割を占める。件数は年々増え、2007年に年間約350件だったのに対し、
15年10月からの1年間は、2倍以上の763件に上った。横浜市内からが中心だが岩手や
岡山、熊本県など全国からも寄せられる。
事務局長の大石文雄さんは「相談の増加は、家族の呼び寄せなどで、外国人の分母が
増えているため。うちでは問題が解決するまで関わるため、実績を口づてで知り、
遠くから相談してくる例もある」。多くのケースに関わってきた信愛塾には、
学校や役所の福祉関係部局などの公的機関が、どう対応すればいいのか問い合わせてくることもある。
相談が寄せられると、センター長の竹川真理子さんを中心にスタッフが相談者に付き添いながら学
校や役所、入国管理局、警察などを訪れ、解決を図る。弁護士と連携することもある。
大半の相談者が金銭的に困窮しているため、相談料は一切受け取らず、食品や日用品の援助も行っている。
「日本人男性が外国人女性を抑圧している例は多く、関連して在留資格や子どもの法的地位、
不就学などの問題が出てくる。子どもを中心に考え、安心して暮らせるようにしようとすると、
家庭の問題に踏み込まざるを得ない。最近は、深刻なケースが多い」。竹川さんは、嘆く。
相談の増加に伴い、経費も膨らんでいる。活動資金は、法人への一般からの寄付金のほか、
約半分は行政からの助成で賄ってきた。ところがこの秋、助成金が満了してしまった。
実は、放課後の子どもたちの居場所事業についても、助成は受けていない。
元教員などのボランティアスタッフがおよそ10人おり、勉強などへのきめ細かな対応は
できているが、子どもらが食べるおやつやその他の経費もかかり、寄付金だけでは常に
厳しいのが実情だ。活動スペースを拡張するための助成金は受けているが、
目的以外には使えないため活動資金にはできないという。
「相談者からお金をとるわけにはいかない。助けなければ、命に関わる人たちもいる。
とても厳しい」と大石さん。信愛塾が対応する相談は、日本社会で誰かが解決しなければ
ならないものだという信念がある。竹川さんは語る。「問題を抱え、身動きがとれない人たちがいる。
そういう課題を解決するとともに、問題に対応できる人材を後継者として育てなければならない。
そのためにも、より広く関心をもってほしい」
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