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2016.11.21 08:00
★【石原慎太郎 日本よ】「モルヒネ」すら携帯できぬ衛生兵 気の毒な日本の自衛隊
私が長らく住んでいた逗子市はごく小さな町でひと頃タクシーの数も僅かなもので、
そのせいか運転手はほとんど高齢者ばかりだったが、ある時珍しくごく若い運転手に乗り合わせた。
私が訳を尋ねたら、実は彼は以前習志野の空挺(くうてい)隊の隊員だったが、かつて北富士での
大演習の際パラシュートで降下した時運悪く着地地点が突出した岩で足を骨折してしまい、
その場での応急の手当てが間にあわず身体が不自由となり退官して今は仕方なしにこんな
仕事をしていますという。これは実は極めて重大かつ象徴的な挿話で日本の自衛隊の置かれた
危険かつ不運な立場を表象していると思われる。私の主治医の佐々木医師はかつては首都圏
随一の救急病院を仕立てた院長で救急治療の権威だが、彼の知見では日本の自衛隊の
医療体制は極めてお粗末なものでその象徴的事例として自衛隊の衛生兵はなぜかモルヒネを
携帯していない。こんな事例は世界中のどの国の軍隊でも在り得ぬことで、件(くだん)の
元自衛官の悲惨な末路がそれを証していると思われる。
ベトナム戦争を題材にした映画でもよく見られるように、アメリカの軍では衛生兵どころか
普通の兵隊までが戦場ではモルヒネを常時携帯しているようで、敵の地雷を踏んで
片足がふきとばされた仲間に軍服の上からいきなりモルヒネを注射してしまい暫時苦痛と
ショックを抑えてヘリで野戦病院に搬送する。
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それがこの現代で戦に臨む軍隊の最低限だろうが、この動乱の時代に集団的自衛権を認め
同じ価値観を抱く友国と共同の作戦に臨まざるを得まいわが国の自衛隊が戦場での最低限の
医療の保証もなしに現地に赴かざる得ないという実情を隊員やその家族国民全体にどう釈明
できるというのだろうか。
自衛隊の衛生兵が常時モルヒネを携帯できない訳は厚生労働省の縦割り行政の悪弊のせいで
モルヒネという強度な麻薬を医師以外の民間人には携帯させぬという制約によるものだ。
自衛隊の軍医までが戦闘の第一線に同行する訳はない。政府は近々の政情の極めて不穏な
南スーダンに集団的自衛権にのっとって自衛隊を派遣するようだがああした異常な状況下にある
国でもしも一人でも自衛隊員に戦死者が出たならば世論は沸騰し自衛隊そのものの存続に
支障をきたしかねまい。
そうした懸念の中で私が思い出すのは私がかつて自民党の外交調査会会長を務めていた時
カンボジアでの初の選挙の管理指導に赴いていた民間隊員の一人がポルポト派のテロに遭い
死亡し、急遽(きゅうきょ)対策会議が開かれた際に出席した外務省の役人がまず事実の
説明報告の際に、『いや、これが民間人で良かったですが、これが正式の自衛隊員だったら
えらいことでした』とぬけぬけと発言し私が激怒したものだった。
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しかしそれは案外政府の本音ともいえそうだ。これでもし南スーダンなり他のどこかでの集団安保の
ための作戦行動の中で派遣されている自衛隊に戦死者が出たならばせっかくの集団的自衛の
体制は大きく毀損(きそん)されかねまい。それを防ぐためにもモルヒネの不携帯も含めて、
総体的に野ざらしに近い状態に置かれている日本の国軍のより安全の確保のためにすべき
努力を速やかに講じることこそが不安定極まる今日の世界の中で日本の孤立を防ぐために
絶対に必要と思われる。
第一に、今の自衛隊に欠けている交戦規定の設立が肝要に違いはない。かつて紅海の出口の
ソマリアの海域に出没するに悪質な海賊制圧と管理を請われて日本の海上自衛隊が出動した際
野党のある議員がこれを違法と非難しその監視のためと焚(た)き付けて一部の民間人たちが
ピースボートなるものをしたてて現地に赴いたのはいいが、現地での余りの危険による不安に
駆られ厚かましくも彼等自らが非難している自衛隊に保護を求めてきたものだった。
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困惑した艦長が本省に相談したらなんとその返事が、交戦規定の無いままに『警察官の職務遂行
規定に倣って、禁錮五十日に相当する相手の行為に対しては発動せよ』との返答だったそうな。
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