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★経歴詐称だらけのグローバル採用。日本企業はダマしやすい!?
秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
■採用活動における経歴は信用できるのか
企業が起こした最近の不祥事を見ると、データの偽装が非常に多い。
免震ゴムのデータ偽装、くい打ちデータの偽装、自動車メーカーによる燃費データの偽装……。
技術によって性能を上げることができず、データを偽装して性能を高く見せようとした結果だ。
結局、某自動車メーカーはライバル企業の傘下に入ってゼロからやり直すことになった。
かつての日本企業には、商品やサービスの性能に対する絶対的な信頼があった。
それが崩れてしまいつつある現在、企業活動そのものの「信頼性」に対して、
社会的な興味関心がかつてないほど高まっているように思える。
一方、最近では、企業側の「偽装」だけでなく、採用される人材側が「偽装」を行っているケースも増えているという。
先日、アジア・ヨーロッパ・中東など、世界を股にかけて活躍する外国人の知人が訪ねてきて、
「忙しくて仕方がない」と話していた。彼が従事している仕事は、個人の学歴や経歴データの認証をするサービスだ。
個人に内緒のままいろいろと調査する「興信所」的なものではなく、個人側の申請に基づき経歴を認証するもので、
法的な配慮はなされており、各国の政府機関などが顧客だという。本当にその大学を出たのか、
その会社で働いていたのか、その資格を持っているのか。構築した全世界的なネットワークを利用して調査し、
経歴データの詐称が行われていないことを保証する。国際間での人材の流動化が進む中、政府や企業が
学歴や経歴の詐称に頭を悩ませるケースが増えているから、このようなサービスが成長している。
日本でも、テレビのコメンテーターなどの有名人の経歴詐称は何例も思い出せる。
アカデミズムの世界においても、あの東京大学ですらすっかり騙されたことがあった。
大学の学位に関していえば、昔からお金を出せば誰にでも博士号等を出してくれる「ディプロマミル」の問題がある。
日本国内の経歴ならまだしも、海外での経歴となると、本人の承諾を得て確認を取るのも一苦労だ。
外国語で外国の機関に問い合わせるのは面倒くさいし、卒業証書や成績証明書のフォーマットも見慣れて
いないから「これです」と言われれば信じてしまう。つまり、国際間の経歴詐称は「やり放題」と言っていい状態なのだ。
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日本企業はこれまで積極的に海外の人材を採用してこなかったので、経歴詐称に対する免疫もあまりない。
これからは、経歴詐称に悩まされる企業が増えていくだろう。すでに騙されている企業も実は多数あるらしい。
先述の彼から聞いた経歴詐称の一例を挙げよう。本当は「CERTIFICATE」と呼ばれる「修了証」がもらえる
短期コースを出ただけなのに、「修士」と偽る。机と電話とパソコンしか置いていないゴースト大学やゴースト
会社を経歴に入れる。「それっぽい」偽装を施した卒業証書を提出する。Aという大学を卒業したことまでは
本当だが、学科やコースを偽る。驚くべきことだが、医学部や看護学部を出ていないのに医療従事者の
免許を持っていると言い張る「偽医師、偽看護士」も少なくないという。
■日本の高信頼社会が崩れる日も近い
積極的に海外の人材を採用してこなかったせいでもあるが、これまで日本では、経歴詐称はそこまで
問題視されてこなかった。逆にいえば、レアケースだからこそ、有名人の経歴詐称が大ごとにされてきたのだ。
これは国民性が関係しているのだろうか。
たとえばサッカーの国際試合などで、蹴られてもいないのに「蹴られた!!」と大袈裟に審判にアピールする
外国チームを見かける。これは「マリーシア」などとも呼ばれ、上手に試合を作る技術としてポジティブに
語られることさえある。日本チームはあまりそういう「偽証」はしない。
国により大きく異なる対応は、各国で歴史的に形成されてきた社会環境に影響を受けているのではないか。
もはや古典になった感もあるフランシス・フクヤマの「Trust(信なくば立たず)」には、市民の自発的社交が
発揮された日本、アメリカ、ドイツなどの社会では、国家でも縁戚でもない中間的なコミュニティが発達し、
そこから高信頼社会(お互いに騙し、騙されない社会)が生まれたと書かれている。(以下リンク先で呼んでください)
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