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2016.10.12 14:00
★【正論】政治利用の懸念も 「ご発言」退位に直結してよいか 東京大学名誉教授・平川祐弘
天皇陛下がご意向を示された「生前退位」への対応について、有識者会議の初会合が17日に開かれる。
論議は自由で闊達(かったつ)でありたい。
≪日本の伝統文化を巨視的な目で≫
8月、陛下が述べられたお気持ちを世間は重く受け止めた。だが国民多数が好意的とはいえ、
ご発言をご退位に直結してよいことか。神武天皇以来の歴史を眺めるなら、万世一系の皇統の維持は、
枢機卿の選挙で決まるローマ法王と話が違う。「法王もお年で譲位したのだから」という例に
ならうわけにはいかないだろう。
首相官邸筋は、陛下のお仕事の軽減をまず考えている。その先はなるべく早くから摂政が国事を
行うのでなぜよくないのか。そこをはっきり知りたい。陛下のご発言は今後、位を継がれる方
みなに関係する。もし退位を認める特例法を作れば、先例になり、政治利用も懸念される。
弓削(ゆげの)道鏡は宇佐神宮のご神託を「天の声」にしようとしたが、近年はラジカルな
フェミニストが声高に叫び出し、それが「天の声」になるかもしれない。
法律家や官僚に欠けるのは、日本の伝統文化を巨視的に見る目がないことで、
『源氏物語』を通読すれば退位・譲位に問題が多いことは分かるはずだ。
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昭和天皇のご生涯が見事なのは意見対立の中で退位せず、在位64年、わが国の敗戦と復興を
ご一身で体現されたことである。負けたままで終わらせずに日本はよみがえった。辛(つら)
くもあり楽しくもあった昭和天皇の代に生をうけ、日本が平和裏にそっと名誉を回復したことを、
私はひそかに誇りにしている。
「天皇陛下万歳」と叫んで戦死した人も、戦争裁判で刑死した人も、昭和天皇がご在位のまま
天寿を全うされたことを草葉の陰で喜んだに相違ない。
昭和天皇は激動の時代にあって、国民とともに歩まれ、安寧を祈られた。両陛下もまた平成の時代、
ご高齢にいたるまで力を尽くして、おつとめを果たされたことは末永く記憶されるだろう。
ご自分の口から「全身全霊」と言われた陛下の、この四半世紀は真に充実した歳月であったと
拝察する。その皇統が内から崩れるようなことがあってはならない。日本の皇室は「続く」ことと
「祈る」ことに意味がある。
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