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2016.10.6 05:02
★【主張】農業と外国人 生産性向上の実現が先だ
政府の国家戦略特区諮問会議が、農業分野での外国人労働者の受け入れ解禁へ検討を始めた。
出身国での実務経験や、日本人と同水準以上の賃金などの条件を付けることが想定される。
安倍晋三首相は法改正を念頭に「実現に向けた議論を加速していく」と意欲を表明した。
農業就業人口は、少子高齢化や不安定な収入を嫌う風潮もあり、大きく落ち込んできた。
農業の担い手確保は長年の課題であり、その解決のため安易に外国人に頼ろうとするものなら誤りだ。
日本の農業は行政の手厚い保護もあって生産性が低い。多くは家族経営で、
農地の集約化がなかなか進まない実態もある。
解禁は当面、特区に限るが、いずれは全国展開を図るだろう。古い体質を残したまま、
人手不足の穴埋めで外国人を受け入れても、強い農業の実現は困難である。
優先すべきは経営基盤の強化にほかならない。それには、情報通信技術(ICT)の
活用で超省力・高品質生産を実現する「スマート農業」の推進などが必要だ。
農業経営のあり方を変えたうえで、日本人だけでは足りないところを外国人に依存する。
それが物事の順序ではないか。
URLリンク(www.sankei.com)
問題視すべきなのは、国の形を変えることにもつながる政策の大転換について、
国民に十分に説明しないまま進めている点だ。どの会議、どの部署が責任をもって
担当するかもよく分からない。
介護分野では先行して、介護福祉士を在留資格に加え、訪問介護の仕事も外国人に解禁する
方針を示している。日本語の微妙な表現や、細かい生活様式を理解するには相当の時間を要する。
そうした点は重視されていない。
介護は医療と同じく国民の命に直結する。その分野を外国人に依存し、将来的に人材不足に
陥ったらどうなるのか。
安倍首相は先の訪米時の講演で「一定の条件を満たせば、世界最速級のスピードで
永住権を得られる国になる」と胸を張った。
こうした発想で将来的に永住者が増えれば、首相が否定してきた「移民国家」と極めて近い
社会にならないか。そういう選択には、国民の覚悟とコンセンサスが必要だ。永住者らの
社会保障をどうするかなど影響は大きい。
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