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門田隆将2016年10月06日 13:42
★国会「二重国籍」論議が示したものは何か
これは、逆に、蓮舫氏に感謝すべきことかもしれない。私は、昨日(5日)、今日(6日)と
2日にわたって続いた自民党の有村治子議員の「二重国籍」に関する国会質問を見ながら、
そう思った。
民進党の蓮舫氏が「二重国籍」を隠したまま、三度も参議院議員に当選し、行政刷新担当
大臣という閣僚にも就いていた事実は、国会に大きな波紋を広げた。なぜなら、その二重国籍
騒動の中で、蓮舫氏の過去の発言が次々と明らかになり、結果的に、民進党代表選のさなか
での発言が虚偽であったことが白日の下に晒されたからだ。
朝日新聞紙上で発言していた「(日本の)赤いパスポートになるのがいやで、寂しかった」(1992年6月25日付夕刊)、
「在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたい」(1997年3月16日付夕刊)、
週刊現代誌上での「そうです。父は台湾で、私は二重国籍なんです」(1993年2月6日号)、
あるいは、文藝春秋「CREA」誌上での「だから自分の国籍は台湾なんですが、父のいた大陸というものを
一度この目で見てみたい、言葉を覚えたいと考えていました」(1997年2月号)…等々、
かつて蓮舫氏は、二重国籍を隠すことなく、堂々とこれを表明していた。
日本より、むしろ「父の生まれた国」への熱い思いを滔々と語っていた蓮舫氏が、民進党代表選の
過程で、元通産官僚の八幡和郎氏(現・徳島文理大大学院教授)の指摘でこの問題が浮上
するや、発言が二転三転し、ついには、代表選の途中で「台湾籍離脱の手続き」をせざるを
得ないところまで追い込まれたのは周知の通りだ。
代表選の対抗馬だった前原誠司氏にも「ウソは言うのはよくない」と窘(たしな)められたほどの
蓮舫氏が、それでも代表に当選するあたりが、民進党という政党の限界を表わしているだろう。
しかし、ここで重要なのは、国益が衝突する外交や国防の最前線で、果たして蓮舫氏のように、
「父の母国」に強い思いを持つ二重国籍者に、日本の自衛隊の最高指揮官であり、
外交の責任者たる「総理」になる資格が果たしてあるのだろうか、という根本問題である。
外交や防衛の最前線では、言うまでもなく、ぎりぎりの判断が求められる。
日本の国益を代表してその任に当たる人物が、「(日本の)赤いパスポートになるのがいやで、
寂しかった」「在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたい」という人物があたる
ことに疑問を持たない人はいるのだろうか。
日本では、国籍選択は国籍法第14条によって規定されており、「二重国籍」は認められていない。
また、外務公務員法には「外務公務員の欠格事由」という項目があり、二重国籍は厳しく戒められている。
それにもかかわらず、前述のように日本の自衛隊の最高指揮官であり、外交の責任者たる「総理」に
二重国籍者が「就く資格」が果たしてあるのか、ということである。
本日の参議院予算委員会で有村治子氏は、外交官以外にも、総理補佐官や外務大臣、
自衛隊員、要人警護のSPなど、国家機密に近い、あるいは、これを知る立場に就く人が
二重国籍者であってもいいのか、という問題意識をもとに質問をおこなった。
現行法制度のもとで二重国籍状態にある人物が閣僚など「政府の要職」に就く可能性が
排除されないことに関して、安倍首相は、「国家機密や外交交渉にかかわる人々であり、
適切な人物を選ぶよう運営してきた」と説明し、「問題点として存在する。われわれもしっかり
研究したい」と答弁するにとどめた。
外務公務員法にのみ、明確な「二重国籍」の禁止条項があるという歪(いびつ)な法体系を
炙り出すことになった今回の二重国籍騒動。民進党には、コスモポリタニズムを信奉し、
世界市民(地球市民)を志向する人が多いのかもしれない。
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