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★「狂気の沙汰だ」米海軍の中国製品購入に怒りの声
米海軍施設にも食い込む中国の影響力
2016.9.22(木) 北村 淳
中国で建造された巨大浮きドックが、今秋にも、アメリカ海軍太平洋艦隊第3艦隊が
本拠地としているサンディエゴ軍港に設置される予定である。
この浮きドックは、アメリカでも最大規模の軍需企業であるBAEシステムズ・インク
(イギリスのBAEシステムズの北米担当子会社、以下「BAE」)が購入したものだ。
同社はこの浮きドックを、サンディエゴ軍港でのアメリカ海軍艦艇のメンテナンスに
使用するとしている(参考:"San Diego Ship Repair"、BAEシステムズ)。
■アメリカ海軍に浸透する中国製浮きドック
アメリカ海軍を支える中国製浮きドックは、BAEが調達した浮きドックだけではない。
すでにオレゴン州ポートランドでは、Vigor Industrial社が中国から4000万ドルで
購入したドックが使用されている。
そして、ハンチントン・インガルス・インダストリーズ(以下「HII」)も中国から巨大浮き
ドックを購入する予定であることが公になった。
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HIIはアメリカ最大の造船会社であり、アメリカ海軍とアメリカ沿岸警備隊の軍艦と巡視船を
建造するとともに、BAE同様に軍艦のメンテナンスにも携わっている。同社はニューポート
ニューズ造船所(バージニア州ニューポートニューズ市)で原子力空母や原子力潜水艦を
建造し、インガルス造船所(ミシシッピー州パスカグーラ市)では、強襲揚陸艦やイージス
駆逐艦、それに沿岸警備隊巡視船などの水上艦艇を建造している。
そのインガルス造船所で海軍艦艇を建造するための巨大浮きドックを中国から調達する
ために、HII幹部が中国企業と折衝していることが海軍に報告された。報告したのは、
中国に駐在しているアメリカ軍連絡将校だった。
ただし、HII幹部と中国側との仲立ちには、インガルス造船所の所在地であるミシシッピー
州選出上院議員が関与していたとの情報もあり、連絡将校からの警告は、ペンタゴン
(米国防総省)レベルではまともに対処されなかったようだ。
■なぜ日本製でなく中国製なのか?
こうしたアメリカ海軍施設への中国製品の導入について、アメリカ海軍関係者の中でも
中国情勢に危機感を抱いている人々の中からは、次のような憤怒の声が上がっている。
「なぜ、中国海洋侵出に立ち向かおうとしているこの時期に、アメリカ海軍に深く関与している
HIIやBAEといった巨大軍需企業が、巨大浮きドックを中国から調達するのか。
中国側を利する動きであり、はなはだ理解に苦しむ。
この種の浮きドックは日本でも製造することができる。日本製ドックでは価格面で折り合わない
というのなら、やはり同盟国の韓国製というオプションもある。それにもかかわらず中国製ドックを
購入するというのは、軍事的視点からは正気の沙汰ではない」
たしかにアメリカ海軍関係者が指摘するように、日本や韓国の浮きドックメーカーを飛び越して
中国メーカーから調達するというのは、同盟国であり浮きドック建造能力を有する日本から
見れば、はなはだ不自然と言わざるを得ない。中国メーカーからの調達は、アメリカ海軍に
とっては仮想敵といえる中国海軍を利することになるからだ。
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しかしながら、客観的に見れば、日本側が圧倒的に劣勢なのは無理もない。
中国企業、中国政府、それに人民解放軍当局は、HIIやBAE、それにインガルス造船所
などとの関係構築だけでなく、それら軍需企業の地元選出上院議員や軍事関係の
連邦議員や地方議員などに対する強烈なロビー活動を展開している。それに対して
日本側は、ほとんどそのような活動を行っていない。
日本でも、せっかく「防衛装備移転三原則」が打ち出され、軍需関連製品の輸出への
道が開かれたにもかかわらず、国際的な防衛関連製品取引の分野では何の経験や
ノウハウを有さない官僚が主導しようとしているため、今回の浮きドック取引に際しても
“蚊帳の外”であった。(以下リンク先で読んでください)
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