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2016.8.20 19:50
★中国人クルーズ船客の失踪相次ぐ 進む入国審査の簡易化…不法入国の新たな手口か
クルーズ船の訪日客が出港時までに船に戻らず、不法残留した疑いのあるケースが、
福岡県や長崎県で相次いで確認されている。外国人の「爆買い」などを背景に入国審査の
簡易化が進む中、不法入国の新たな手口とみて関係当局は警戒する。
昨年、外国クルーズ船の寄港回数が245回と日本一となり、定員数千人の船が毎日の
ように到着する博多港(福岡市)。福岡県警によると、昨年は11人、今年は若松港
(北九州市)も含めると6人の中国人がツアー途中で失踪した。
長崎港(長崎市)でも昨年は11人、今年は佐世保港(長崎県佐世保市)も含め6人が
船に戻らなかったと長崎県警は明らかにする。
福岡の2人は京都府と福岡県でそれぞれ見つかり、長崎の失踪者の一部も見つかったが、
残りは不法残留しているとみられる。
法務省入国管理局によると、不法残留者は今年1月現在で6万3千人近く。判明したクルーズ船
からの失踪者数は全体からするとわずかだが、国土交通省によると、昨年クルーズ船で入国した
外国人は前年比2・7倍の約111万6千人もいる。観光立国を目指す政府は平成32年に
500万人の目標を掲げており、捜査関係者は「失踪者が増える恐れがある」と懸念する。
入国管理局は、テロ対策などとして19年から入国時の顔写真撮影と指紋採取を義務付けたが、
昨年1月、クルーズ船客を対象に写真撮影を省略する制度を本格導入した。数時間かかっていた
審査の待ち時間を短くするのが狙いで、実際に1時間前後短縮できたという。
入国管理局は「(写真撮影の省略は)不法残留者を出さない取り組みの有無といった観点から
法務相が許可した船に限っている」と、出入国管理の厳格さは損なわれていないと主張する。
ただ捜査関係者らは「旅行代金が安くなり、富裕層以外の客も多い」と指摘。「審査が緩い
といった情報はインターネットなどで広まりやすく、不法残留狙いでクルーズ船を利用する人も
いるのでは」との声も上がる。福岡入国管理局も失踪の疑いがある場合には旅行会社に
すぐ通報してもらうなど対策を練る。
福岡市によると、昨年秋の調査で中国人客1人当たりの平均消費額は10万7千円。
訪日客の経済効果は見過ごせず、審査簡易化の流れが変わる可能性は低い。
「諸外国と比較し、日本の入国管理や在留管理は厳格だ」と指摘する国士舘大の
鈴木江理子教授(移民政策)は「審査が緩いと思われれば(クルーズ船を利用した)
不法残留者が増える可能性もあるが、訪日客増加による経済的メリットも踏まえて
対応を検討すべきだ」と話す。
URLリンク(www.sankei.com)