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2016.8.7 13:06
★【新聞に喝！】「生前退位」報道のウラはどう取っているのか 「リークの狙い」も重大関心事なのに踏み込まれていない 京大霊長類研教授・正高信男
これまで多くの国民が考えたこともなかったであろう天皇陛下の「生前退位」が、
にわかに大きな議論になってきた。そもそもは、７月１３日のＮＨＫの報道がきっかけである。
この日、夜７時からの「ニュース７」を見ていると、天皇陛下「生前退位」の意向という
ニュースがトップで流れた。文句なしのスクープだったのだろう。翌朝の新聞各紙は
いずれも１面トップで追随した。
同１４日付の産経は「天皇陛下『生前退位』」という大きな見出しを掲げ、「天皇陛下が、
天皇の位を生前に皇太子さまに譲る『生前退位』の意向を宮内庁関係者に伝えられて
いることが１３日、分かった」と書き出している。朝日は「天皇陛下が、天皇の位を生前に
皇太子さまに譲る『生前退位』の意向を示していることが、宮内庁関係者への取材でわかった。
数年前から繰り返し周囲に話していたという」と書いた。
ただし、どの新聞を見ても、ＮＨＫの報道のウラをどのように取ったのかが分からなかった。
産経によると「宮内庁の山本信一郎次長は、陛下が生前退位の意向を伝えられたことに、
『そのような事実は一切ない』とした」という。これほどの強い否定を無視する根拠は何なのか。
「宮内庁関係者」とはどのような人なのか。記事を読んでいても、次々と疑問が湧いてきた。
テレビやネットで流された情報を、全面的に追いかけることになった今回のような場合、
ＮＨＫ速報そのものを「事件」ととらえる方法も、ありえるのではないだろうか。ニュースソースの
明示には難しい面もあるだろうが、「意向」の信（憑（しんぴょう）性をいかにして確認したかを
含めて記事にするというふうに、ひとひねりすることもできたように思うのだ。
ニュースを受け取った側が知りたいのは、生前退位の実現可能性にとどまらない。
この情報が特定のメディアに意図的にリークされたものなのかどうかということも、
重大関心事の一つである。
同１０日投開票の参院選で、自民、公明両党と、おおさか維新の会などの「改憲勢力」が
非改選と合わせて、憲法改正に必要な参院議席の３分の２以上を確保した直後、
という時期である。
仮に意図的に流されたのならば、この時期に意味があったのか。憲法改正の動きに連動して
皇室典範も変えようとする意思も働いているのか。それとも全く別の狙いがあったのか。
このあたりまで踏み込んで書いてほしいと思うのは、私だけではないだろう。
電波やネットと競合するのではなく、それらを客観的に俯瞰（ふかん）した上で読者のニーズに
応える情報を提供することが、今日の新聞報道には求められている。
URLﾘﾝｸ(www.sankei.com)
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