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★スパイ容疑で中国に拘束!「華麗なる中華人脈」をもつ日中交流の草分けが一体なぜ…?
2016年08月04日(木) 伊藤 博敏
■中国との関わりが、はるかに深い人物
「中国大使館でこの人のことを知らない人はいない」(中国事情痛)といわれる日中友好団体の
理事長(59)が、7月中旬、渡航先の北京で中国の治安当局に国家安全危害容疑をかけられて拘束された。
2014年11月、習近平政権は、共産党体制を脅かす存在を除去することを目的に、「反スパイ法」を制定。
それに基づく容疑があったとして、昨年から今年初めにかけて日本人4人を逮捕、うち2人を起訴した。
団体理事長も「スパイ」と見なされたわけだが、これまでの4人が様々な事情で中国との関わりを深くし、
日本の公安調査庁の協力者となっていたのに比べると、団体理事長と中国との関わりは、はるかに深く、長く、そして重い。
そのためか、「中国の権力抗争に巻き込まれたのではないか」(団体理事長の知人)という観測さえ流れている。
団体理事長が拘束されるまでの中国との関係を振り返ってみよう。
団体理事長は、大学院修士課程を修了後、労働組合専従を経て、日本社会党の竹内猛代議士、
秋葉忠利代議士の秘書となる。中国との関係は、83年、中華全国青年連合会の受け入れにより
初訪中してからなので30年以上に及び、訪中歴は200回を超える。
語学力と中国人脈を買われ、95年8月、村山富市首相が「侵略戦争の反省と非戦の誓い」を
世界に表明した「村山談話」の際には、中国との折衝役などを務めた。
以降、中国との関係をさらに深め、97年には北京外国語大学の教壇に立ち、大学教師のかたわら、
北京社会科学院などの研究員を務めた。その人脈を伝えるのが、2000年10月、北京で開いた自身の
結婚披露宴で、張香山党中央対外連絡部顧問、劉徳有元文化次官ら有力な対日関係者らが出席した、という事実だ。
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■日中交流の草分け、のハズが…
現在は、自身が立ち上げた日中の青年交流を目的とした団体理事長であり、拓殖大学客員教授、
創価大学講師、日中協会理事、北京市社会科学院中日関係研究センター客員研究員などを務める。
特筆すべきは、今年4月から衆議院調査局の客員調査員になっていること。
正式には、「衆議院調査局国家基本政策調査室兼北朝鮮による拉致問題などに関する特別調査室」
の客員調査員であり、その名刺も持つ。
つまり団体理事長は、日中交流の草分けであり、30数年にわたる関係の間には、「代議士秘書」
「首相側近」という公的立場を持ち、今も衆議院の委託を受けた調査員なのである。
拘束の事実を受けて菅義偉官房長官は、7月28日、「日本政府は、いかなる国に対してもスパイ行為を
していない」と述べた。であるならば、政府にはスパイ容疑が何であったのかを質す義務がある。
団体理事長の今回の訪中目的は、外交助言シンクタンクの新外交イニシアティブと中国外交部の
中国国際友人研究会が、11月3日と4日に開く「日中の新しい外交を考える研究会」(仮称)の
事前折衝。団体理事長は、新外交イニシアティブの顧問のような形で同行した。
7月11日、新外交イニシアティブのメンバー3人とともに北京に到着して、11日、12日の両日、
中国国際友人協会のメンバーと懇談した。その過程で、中国共産党対外連絡部の外郭団体
である軍縮協会副所長、日中関係史学会幹部らとも面談。いずれも団体理事長の中国人脈である。
新外交イニシアティブのメンバーは13日に帰国。団体理事長は、13日以降は別行動を取り、15日朝、
ホテルをチェックアウトし、午後5時北京発のチャイナエアラインで帰国するはずが搭乗していなかった。
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