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2016年08月02日(火) 伊藤祐靖,伊勢崎賢治
★なんて奇妙な日本国憲法!死ぬことの理由さえ与えてくれないなんて~自衛隊「特殊部隊」創設者と「紛争解決人」の嘆き
■頭がどうかしちゃったのか
自衛隊初の特殊部隊「海上自衛隊特別警備隊」の創設者の一人で、このほど『国のために死ねるか』を
上梓した伊藤祐靖氏。国連職員などを経て、東チモールやアフガニスタンの紛争解決に取り組んできた
伊勢﨑賢治氏(現東京外国語大学教授)。命をかけて国のために任務を遂行してきた戦闘のプロフェッショナルと、
紛争解決のプロフェッショナルが、憲法改正の現実味が増す中で、戦争のリアルと、憲法改正について語り尽くす。
伊勢﨑:僕はもともと自衛隊にも9条にも興味なかったんです。それが、PKOで外国の軍隊を扱って、
日本に帰ってきてからしばらくして、どうも日本は違うぞ、と気がついた(笑)。しかし、今でもその違いを、
どう説明しても日本人に理解してもらえないんです。
今でも軍隊のことを〝人殺し〟と言う人がいますね。そりゃ、殺される人にとっては、犯罪者に殺されようが、
警察に殺されようが、軍隊に殺されようが同じかもしれませんが、その行為に対峙する法体系はまったく違うわけです。
英語では単語からして違う。メディアでも、犯罪者が人を殺すことはmurderですが、軍隊の場合は、それじゃなく、
manslaughterのような単語を当てることが多い。
軍隊は、戦時国際法/国際人道法に則って、同法で規定される「敵」を合法的に殲滅するわけで、
そういう感覚が日本では一般の人にも、政治家にもない。だから「防衛費は人殺し予算」みたいな言説で、
政局が消耗してしまう。
伊藤:そこに問題があるということにさえ誰も気づいていない。下手すると自衛隊員も気づいていない。
たとえば、自衛隊の現実は、上官が、「もっとスピードを上げろ」と命令して、スピード違反で捕まったら、
逮捕されるのは命令した上官ではなく、運転していた部下なんです。こうしたおかしいことが日本の現実
なんだときちんと説明して理解させないと、自衛隊は機能しないはずなんですが……。
伊勢﨑:日本政府は南スーダンのPKOに自衛隊を出していますが、あそこは日本のPKO派遣5原則なんて
もともと成り立っていないんです。それでも、日本政府は「停戦が保たれている。平和だ」と言い張っている。
それに対して反対派は、「もう内戦状態なんだから自衛隊は帰ってこい」と。今、撤退できないんですよ。
すでに述べたように、現代の国連PKOは、住民を見放さない、という考え方になっています。
もちろん、日本政府の判断で自衛隊を引揚させることはできますが、それは「人道に悖る卑怯者国家」という
レッテルを受け入れ、国連外交を放棄する覚悟でやらなくてはならないことなのです。
自衛隊は軍隊じゃない、なんて言いますけど、別にみんな私服では行きませんよね(笑)。正式な戦闘服で行く。
これは、戦時国際法/国際人道法上の「義務」であるからです。軍隊であることを敵から識別できるような
格好をして交戦しなくてはいけないというのが、その国際法です。同法が最も禁止するのが、民間人/非戦闘員
の殺傷ですから、着ていないと、わざと民間人の犠牲を企んでいると見なされるわけです。
さらに、PKOの隊員は、右肩に国連章を付けますね。これは国連の指揮下にあることを示しています。
左肩に各所属国の国旗を付けるのは、軍事組織としてその法的な存在の根拠が、その国の法体系にある、
ということを示すためです。
つまり、戦時国際法/国際人道法上の違反をした場合、国内の法律……ほとんど全てにおいて軍法、
日本にはありません……に従って処罰されることを示しています。これは自衛隊にとっても同じで、つまり、
指揮権は国連にあって、東京ではないんです。東京にあるのは、撤退させるという外交力だけです。
伊藤:そういうことは、自衛隊員に明確に説明されません。だから行けるということもあるかもしれませんね。
もし指揮権が自分たちにないとわかっていたら、私なら派遣命令を断ります。
現場にとって、「誰の言うことを聞くのか」は大問題です。その人の価値判断で誰かを殺し、
誰かに殺されるのが仕事なのですから、戦勝国の組織の知らないオッサンの価値判断でなんて、
死ねませんよ。われわれは奴隷じゃないのですから。(以下リンク先で読んでください)
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