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★暴発寸前の中国を制するには、この「封じ込め戦略」が最も有効
2016年07月22日(金) 長谷川 幸洋
■「中国の改心」を夢想しても仕方がない
封じ込め実行には、こちら側にも問題がある。環太平洋連携協定(TPP)が象徴的だ。
もともとTPPは対中包囲網の形成が隠れた狙いだったのに、いまや米国の大統領候補が
2人とも脱退ないし再交渉を言い始めている。それは中国に塩を贈るようなものだ。
いまは対ソ冷戦期のように、日米欧が一枚岩でもない。欧州は中国が創設したアジア
インフラ投資銀行(AIIB)にこぞって参加した。欧州はソ連を恐れていたが、いま中国を
恐れてはいない。彼らは中国が欧州にまで攻めてこないと分かっているから、ビジネスで
利益が得られればそれでいいのだ。
一方、当時のソ連といまの中国が似ているところもある。
まず、その好戦的態度だ。ソ連もいまの中国のように盛んに西側を挑発した。
ケナンが研究したスターリンと習近平も指導者としてよく似ている。習近平は近年、
スターリンのような強権的独裁者への道を歩み、政敵をばんばん追放している。
軍事に傾斜して自国の縄張り拡大を目指すところも同じである。
ソ連は経済が崩壊して、最終的に国がつぶれた。中国は表向き高成長を装っているが、
とっくにバブル経済が破裂し不良債権は巨額に上っている。ソ連はバルト3国の独立宣言
がきっかけになって崩壊したが、中国も韓国、北朝鮮、台湾、香港の周辺国・地域が
離反している(1月22日公開コラム参照、URLリンク(gendai.ismedia.jp))。
ソ連では国の崩壊が迫ると共産党や軍幹部の亡命や逃亡が相次いだが、
中国でも共産党幹部の子息や愛人の国外脱出と外貨持ち出しが相次いでいる。
封じ込め戦略は対中国でも有効と思われる。ただし、かつての対ソ版からは相当、
バージョンアップしなければならない。先の孫・副参謀長は「日米が共同して南シナ海を
共同パトロールすれば、中国は黙っていない」と日本に警告したという。
中国はまさにそれを恐れているのだ。
だからこそ、日米(+あまり頼りにはならないが欧州も)は共同で軍事面に限らず経済も含めて
全面的に対中戦略をブラッシュアップし、いまから有事に備える必要がある。
いまは「中国の改心」を夢想しているような局面ではない。
URLリンク(gendai.ismedia.jp)