16/07/05 16:45:59.33
★金平茂紀の新・ワジワジー通信(16)】「県民大会」と報じない訳 問われるメディアの自律
2016年7月4日 14:47
6月19日のお昼すぎ、那覇市の奥武山公園陸上競技場には、猛暑にもかかわらず、
おびただしい数の人々が集まっていた。この日の最高気温は32・6度、湿度は65%、
南風がわずかに吹いてはいたが、芝生の上でさえ照り返しがひどくて、まるでフライパンの上にいるような暑さだった。
さらに陸上競技用のラバーが敷き詰められている場所は、40度をはるかに超えるような
「ホットスポット」になっていて、そこだけグラウンド上にぽっかり穴があいたように人がいない。
あとはびっしりと人、人、人。「ウチナンチューはね、普段はこんな1番暑い時間帯にわざわざ表に
出てくることはやらないさ」。古くからの沖縄の友人が解説してくれた。
主催者側が発表している正式な大会の名称は「元海兵隊員による、残虐な蛮行を糾弾!
被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」だ。長ったらしいから僕ら報道陣のあいだでは
「県民大会」と言いあっていた。それが一部で異変をきたしていたことを僕が知ったのは、その日の夜になってからだ。
午後2時から始まった大会のステージ冒頭を飾ったのは、古謝美佐子さんの歌「童神」だ。
古謝さんが三線を自分で奏でた。すばらしい歌と演奏だった。
暑き夏の日は 涼風(すずかぜ)を送り
寒き冬来れば この胸に抱いて
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐゎ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
月の光浴びて
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
健やかに 眠れ
犠牲者への哀悼の意をこめて歌ったのだと古謝さん自身から聞いた。大会の流れが明らかに変わったと思ったのは、
「若者からのメッセージ」というパートに入ってからだ。なかでも玉城愛さん(名桜大学学生)の言葉。
〈安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の「第2の加害者」は、あなたたちです。
しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか。〉
時折涙を流しながらの訴えだった。僕の横にいた女性は涙をぬぐい続けていた。「シランフーナー(知らんぷり)の暴力」とは、
以前に知念ウシ氏が言い当てた言葉だが、玉城さんの「第2の加害者」はその延長にある言葉だと思う。
その後に登場したSEALDs琉球の元山仁士郎さんらの訴えも「自分のことば」で必死に訴えていた。
借り物ではない「自分のことば」。若い世代の「自分のことば」がこの日の県民大会を特徴づけていた。
その異変を教えてくれたのは例によって古くからの沖縄の友人だった。NHKがこの日のニュースで「県民大会」という
言葉を執拗(しつよう)に避けて「大規模抗議集会」という言い方をしているのだという。実際に確かめてみると、
何と本当にNHKだけが当日の県民大会のことを「大規模抗議集会」と放送しているではないか。
ええっ? 何があったのか。ちょっと前まではNHKも「県民大会」と言っていた。5月23日のNHKニュースを調べてみたら、
ごく当たり前に県民大会と言っていた。〈沖縄の…事件を受けて、沖縄県議会与党会派や市民グループなどで作る団体は、
来月19日に県民大会を那覇市で開くことを決め、数万人規模の参加を目指すことにしています。〉
それが「大規模抗議集会」とは。出来事を矮小(わいしょう)化して報じる狡猾(こうかつ)さを感じ取った人も多い。
>>2へ続く
URLリンク(www.okinawatimes.co.jp)