16/06/24 10:45:57.89
★浜松インターナショナルスクール開設半年
2016年6月21日
◆生徒数増も利用に偏り
浜松学院大（浜松市中区）の学生たちが運営する「浜松インターナショナルスクール」が開設から半年を迎えた。
日系ブラジル人を中心に出稼ぎ労働者が多い浜松で、外国籍の子どもたちに週一回、算数や芸術を教えている。
生徒は当初の六人から十九人に増えたが、予想に反して南米系は一人のみ。資金不足も課題だ。
「ワン、トゥー、スリー…」。五月末、浜松学院大の構内に子どもたちの元気な声が響いていた。
授業は全て英語。フィリピン人の講師が「グッドジョブ」と声を掛けると、子どもたちはうれしそうに笑った。
出稼ぎ労働者の子どもたちの親は共働きが多い。家庭で日本語を習得する機会が少なく、
学校の勉強も遅れがちだ。「マイノリティー（少数派）の子どもたちの居場所がなく、
十分な教育が受けられないことで仕事が見つからない悪循環を断ち切りたい」。
校長を務める四年生の白井椋子（りょうこ）さん（２３）は力を込める。
スクールは昨年十二月に学生五人で開設した。日系ブラジル人の支援に取り組む同大の
津村公博教授（５４）が運営に協力している。
四人いる講師はすべて外国人で、学内で毎週土曜、五歳～小学六年生に算数を教え、
さらに隔週で芸術も指導する。授業料は無料で、月二千五百円の教材費のみ。
今も毎週のように体験入学の子どもたちがやってくる。
ただし、想定外だったのは、子どもたちの顔ぶれ。両親か、どちらかの親が外国人の子どもは十二人。
日本とフィリピンのハーフの子が九人を占め、ブラジル系は一人だけ。多文化を吸収しようと、日本の子ども七人が通っている。
フィリピン人講師らの呼び掛けもあり、「市内のフィリピン人コミュニティーにはうまくスクールを周知できた」と津村教授。
一方で、日系ブラジル人は、互いの関係が希薄でコミュニティーがほとんど形成できていないことに加え、
親世代が子どもをスクールで学ばせる意義を認識できていないという。
講師の人件費など資金不足も悩みだ。本年度は民間の二団体から計百二十万円の助成を得たが、
初年度は津村教授の研究費から援助を受けたことも。安定運営に資金確保は欠かせない。
学生らを見守る津村教授は「学生にはいい学校をつくろうという気概がある。英語による学力定着に期待したい」と
エールを送る。さらに、出稼ぎ労働者の子どもたちの利用増に向けて、「粘り強く声を掛けていく必要がある」と話す。（石川由佳理）
＜記者の目＞ 負の連鎖断つために
外国籍の子どもたちに教育が行き届かないことによる「負の連鎖」を食い止めようと始まったスクール。義務教育からはじき出され、
十代半ばで働き始める「デカセギ」の子どもも多い中、教育の先に何があるかを理解してもらわなければ連鎖は断ち切れない。
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