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2016.6.5 11:00
★【加藤達也の虎穴に入らずんば】「力ずく」で徴用された朝鮮人とはこれいかに…原爆資料館の誤解を招きかねない英訳に異議あり
米国のオバマ大統領が現職大統領として初めて被爆地を訪れた。オバマ氏は平和公園に到着後、
まず平和記念資料館(原爆資料館)で芳名録にメッセージを記帳し、12歳で亡くなった被爆犠牲者の
佐々木禎子さんが闘病中に折り続けた折り鶴などの遺品を見学。オバマ氏自身が折った折り鶴を寄贈
するというサプライズ演出もあった。
オバマ氏訪問の翌日、資料館には“オバマの折り鶴”を一目見ようと多数の人が列をなしたが、
まだ展示されていなかったことにがっかりしたという。反響の大きさを物語るできごとだ。
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資料館によると、国内外からの来館者は最近の5年間、増加傾向で昨年度は150万人に迫った。
特に外国人の伸びが大きく、平成27年度には約33万8900人で、前年度を10万人以上、上回った。
5月28、29日の外国人来館者数はそれぞれ1564人、1305人。昨年5月の最後の土、日曜は734人、
703人だったからほぼ倍増した。今後“オバマ効果”でヒロシマへの関心は高まり、資料館を訪れる人はさらに増えるのではないか。
核兵器の脅威を世界に広め日本の平和に取り組む姿を国際社会にアピールするため、この状況は最大限に活用されるべきだと思う。
だが、気がかりなことがある。それは、展示品に付けられている説明文の一部に誤解を招きかねない表現があるということだ。
× × ×
本館の展示スペースの入り口を入ると、被爆当時の爆心地付近の町並みを再現した円形の大きな模型がある。
原爆ドームの上空には原爆の炸裂(さくれつ)直後に発生した赤い巨大な火球が不気味に浮かんでいる。
模型の縁には「直接被爆者」という説明書きのプレートがあり、昭和20年8月6日の原爆投下時、
広島にいた約35万人とみられる「直接被爆者」のなかに数万人にのぼる朝鮮の人たちが含まれていたことに言及。
《日本国内の労働力を補うため、朝鮮から強制的に徴用され、軍需工場などで働いていた》と続いている。
朝鮮半島出身者の日本本土での勤労動員は、朝鮮半島における国民徴用令の適用免除が解除された
19年9月に始まり、20年3月に人員輸送のための船舶と航路の確保が困難になるまで、約7カ月続けられた。
国民徴用令に基づく勤労動員を「強制的に徴用」とする表現が正確か否か、日韓の専門家の間にも異論がある。
説明文には英訳があり、《(略)were brought by force to Japan(略)》とある。
《by force》 は「強制的に」「力ずくで」という意味だ。資料館によるとこの説明板は平成3年に設置された。
まず日本語、次いで英文が作成されたが内容や表現の決定経緯は分からないという。
歴史認識問題に詳しい福井県立大の島田洋一教授は、この表現について「過度に朝鮮人の被害性を強調した
英文になっている。by forceは削除すべきだ」と指摘する。
「徴用された」「労働力として動員された」ではなぜいけないのだろうか。
昨年7月のユネスコ世界遺産委員会での「明治日本の産業革命遺産」登録にあたっても、
やはり朝鮮からの勤労動員に関する英文で外務省が「力ずくで」の表現を入れ、韓国側を歓喜させた。
本館は今年10月に全面リニューアル作業に入る。模型展示は撤去されるが、朝鮮半島からの徴用については
いずれかの展示で触れられるだろう。外国人への影響力が大きくなる資料館には、史実に忠実な表現で、
日本の平和への取り組みを伝えてもらいたい。
URLリンク(www.sankei.com)