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★【トランプと世界】沖縄が米軍関係者の犯罪に過激反応する歴史的背景 基地分散は国民的課題だ
2016.05.27
ドナルド・トランプ氏は、米軍駐留について「日本や韓国、欧州などの防衛のためであり、
駐留費用は全額当該国が負担すべきで、しないなら撤退もあり得る」といい物議を醸している。
沖縄の米軍基地反対派はトランプ発言を大歓迎し、思わぬかたちで、極右(自主防衛派)と
極左の共闘が実現している。
しかも、元米海兵隊員で軍属による女性死体遺棄事件が発生し、沖縄の反基地ムードは
最高潮に達している。25日夜の日米首脳会談でも、この件が議論された。
こうした事件が起きると、米軍関係者(米軍人や軍属ら)が公務中に事件、事故を起こした
場合の司法的取り扱いなどを定めた日米地位協定の改定が議論される。このような事件が
二度と起きないような措置を取るべきだと、「ゼロリスク論」が語られる。
しかし、日本人女性と結婚して一緒に住む元軍人の事件が、地位協定の改定で封じられる
ものでもない。「ゼロにする」というのは努力目標としては当然だが、それを保証するのは
神でも無理である。必要なのは、犯罪を有為に減らす実際的な工夫であって、その場しのぎの
大盤振る舞いや不誠実な出まかせではない。
米軍人らによる犯罪は、米施政権下、特にベトナム戦争時などは多く、解明や処罰も十分でなかった。
しかし、現在は一般県民や在日外国人に比べても犯罪率は高くない。地位協定がゆえに、
著しく不当な状況が生じているのでもない。
それでも、犯罪や不安を減らしたいなら、基地内や入域管理ができる特区を設けて、
米軍関係者用のアミューズメント施設を集中することなどが有効だろう。
地位協定も、今回の事件が起きたから急ぎ改訂しろというのは見当外れで、日本の司法制度や、
米軍関係者の犯罪の実態などを検討して、20年くらいは何があってもこれで行くという結論を出すべきだ。
では、どうして沖縄が1つになって盛り上がるのかといえば、米軍基地の是非をめぐって分断された県民が、
声をそろえて団結できる稀有な機会だからだろう。しかも、政府から実利を与えられる可能性も高い。
トランプ氏もよく勉強すれば、沖縄の米軍基地は「世界平和にとって不可欠である」と理解するはずだ。
だが、本土で引き受けられるものまで押しつけていることが、モラルハザードであるのも事実だ。
糊塗(こと=一時しのぎにごまかすこと)策に堕することなく、国民的課題として分散を真剣に考えるべきだろう。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。
フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。
作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『「領土」の世界史』(祥伝社新書)、
『日本人の知らない日米関係の正体 本当は七勝三敗の日米交渉史』(SB新書)など多数。
URLリンク(www.zakzak.co.jp)