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★広島宣言に「誤訳」を忍び込ませた外務省
英語では「非人間的」とは書かれていない
2016.4.30(土) 古森 義久
オバマ米大統領が広島訪問を検討していることが伝えられ、原爆投下をめぐる議論が改めて
国際的に浮上している。その中で、4月中旬にG7(主要7カ国)外相が広島市で採択した
「広島宣言」を日本外務省が意図的に誤訳したことが、ゆがんだ影を広げ始めた。
広島宣言はもともと英文で発表された。外務省によるその日本語訳を読むと、
各国外相が広島や長崎への原爆投下を「非人間的」な行為として認めたかのように読める。
だが、原文はそんなことは述べていないのだ。
この誤訳はすでに一部のメディアで提起されたが、外務省側は認めようとせず、訂正していない。
誤訳をそのまま公式サイトに乗せ、声明の内容として伝えているのだ。
英語の「human」は言うまでもなく「人間の」とか「人間的」という意味である。
だが、日本の外務省はこの言葉を「非人間的」という正反対の意味の日本語に訳している。
その意図は日本国民への一種のおもねりとも映る。「主要各国の外相たちが日本への原爆投下を
非人間的な行動だと認めた」ような印象を日本国内に与えたいということなのだろう。
■「human suffering」が「非人間的な苦難」?
この広島宣言は広島市で開かれたG7外相会議で4月11日に採択された。
正式には「核軍縮及び不拡散に関するG7外相広島宣言」と題された声明である。
問題の部分は以下のような文章だった。
The people of Hiroshima and Nagasaki experienced immense devastation and human suffering
as a consequence of the atomic bombings and have rebuilt their cities so impressively.
日本外務省はこの記述を日本語に訳し、次のような「仮訳」として発表した。
「広島及び長崎の人々は,原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験し,
そして自らの街をこれほどまでに目覚ましく復興させた」
英語の原文では、「広島と長崎の人々」が原爆投下の結果として「human suffering」、
つまり「人間的な苦痛」を経験したと書かれている。「human suffering」は「人間的な苦痛」
でも「人間としての苦難」と訳してもよいだろう。
だが外務省訳では、「human suffering」が「非人間的な苦難」とされている。
「人間」という部分が「非人間」になっているのだ。
日本人が読めば、原爆投下の当事国の国務長官(外務大臣に相当)までが名を連ねた外相宣言で、
広島と長崎への原爆投下は「非人間的な」行動だったと認めたと受け止めるだろう。
しかし英語の原文を読めば、そんな解釈はまったく生まれてこない。
■政治的意図が込められた誤訳
こうした動きの背景には、日本政府が長年、広島と長崎への原爆投下が「非人道的な行動」
であると訴え、それに対する同意を世界各国から取りつけようとしてきた経緯がある。
今回の「非人間的」という表現も意味合いとしては「非人道的」に近い。
今回の故意的な誤訳には、日本国内に向けて、特に広島や長崎の悲劇を訴える反核活動家たちに向けて、
日本政府の主張が各国に受け入れられるようになった成果を訴える狙いが透けて見える。
だが、純粋に英語から日本語への翻訳としてみても、「human」を「非人間的な」と訳すのは
あまりにも無理がある。日本側の核問題や翻訳の専門家たちも外務省の訳の不自然さを指摘し、
「human suffering」はせいぜい「人的苦痛」「人間が経験する苦痛」と訳すのが適切だろういう見解を示している。
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
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