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2016.4.29 05:03
★【主張】単純労働者の容認 社会コストどう負うのか
外国人労働者の大量受け入れは、それに伴う社会コストの増大など将来にわたる影響も踏まえて判断すべき政策だ。
目先の労働力を確保するため、「受け入れありき」で結論を出す愚を冒してはなるまい。
自民党の「労働力確保に関する特命委員会」がまとめた提言案は、原則として学者や技術者などの
「高度人材」しか認めてこなかった現状を改め、単純労働者の受け入れを容認するよう求めている。
介護や農業など人手が足りない分野について「個別に精査して受け入れを進めていくべきだ」
と踏み込んだ。単純労働者という用語そのものもなくせという。
外国人にも開かれた国家という価値観は重要だ。しかし、欧米での移民問題をめぐる混乱をみれば、
受け入れが大きな困難を伴うことは明らかだろう。
提言案の作成過程で、将来に及ぼす影響が十分議論された形跡はみられず、
特命委でも「なぜ日本が欧米の後追いでやるのか」といった疑問や異論が残っている。
「共生の時代」という聞こえのよい言葉を使っただけでは済まされない課題が山積している。
最も懸念されるのは、政府が永住権取得を簡単にする「日本版高度外国人材グリーンカード」
構想を性急に実現しようとしている点だ。安倍晋三首相は永住権取得までの在留期間を
「世界最短にする」と力説している。
「高度人材」と「単純労働者」の区分けをなくした場合、職種にかかわらず、短い在留期間で
永住権を与えるのだろうか。もっと丁寧な議論と説明が必要だ。
企業側には外国人を「若くて安い労働力」と期待する傾向が強かった。
だが、「高齢になる前に母国に帰ってもらえばよい」といった都合のいい考え方など、
そもそも通用しなくなる。永住者の老後には、行政上の責任が生じることを忘れてはならない。
低年金や無年金の永住者は増えないだろうか。すべてを生活保護で対応するとなれば、
国家財政への影響は計り知れない。子供の教育環境の整備も求められる。
特命委は「受け入れ枠」の設定に言及しているが、永住者は職業を自由に選べる。
転職者が相次げば人手不足の「穴埋め」にはならず、日本人との競合も生じる。
将来へのコストも含めた、多角的な視点からの議論が欠かせない。
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