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2016.4.23 08:00
★【経済インサイド】民泊大国フランスの惨状を見よ! 脱税横行、家賃上昇、人口減…「パリは人の住めない街になってしまった…」
一般住宅に有料で旅行客を泊める「民泊」の規制緩和をめぐる論議が進む中、宿泊施設業界が
“反撃”に乗り出した。最大団体の全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が、
フランスの業界団体を招いて「緊急フォーラム」を開催。同国のパネリストらが
「フランスの失敗に学んで二の舞を避けよ」と、民泊の拡大にショッキングな警鐘を鳴らした。
年間8000万人以上の旅行客を集める世界一の観光大国・フランスの現状は、
「観光先進国」を目指す日本にとっての反面教師といえそうだ。
■税を納めずぼろもうけ
「パリは、住民が住めない街になった」
ホテルやレストランなどの事業者団体「GNI」のディディエ・シュネ会長は、
3月17日に都内で開かれた緊急フォーラム「民泊の真実」でそう嘆いた。
アパートなどの所有者がこぞって民泊営業に乗り出したため、パリの家賃相場が急上昇した。
賃貸契約の25%が更新されないなど、住宅不足が深刻化。とりわけ観光客の人気スポット周辺では
「住民が減った結果、学級閉鎖といった事態も起きている」(シュネ会長)という。
民泊仲介サイト最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)に登録されているパリ市内の
民泊物件は約6万件、ベッド数にして約20万床。ホテル(11万床)の2倍近い。
2014年の訪仏観光客数は8370万人と08年比6%近く増えたにもかかわらず、
逆にホテルの客室稼働率は59・2%と2ポイント以上低下。
「業界の雇用減少を招いている」(シュネ氏)のが実情だ。
客足を民泊に向かわせているのは「価格差」だという。ホテルの平均宿泊料152ユーロに対し、
民泊は同103ユーロと大幅に安い。ホテルと異なり、安全面やユニバーサル対応といった
設備投資などが不要なためだ。
そのため、仏ホテル職業産業連合(UMIH)の試算によると、ホテル事業者の税引き前利益が
売上高の5~10%程度なのに対し、民泊の場合は60~70%と、まさに“ぼろもうけ”。
加えて「フランスの民泊ホスト(貸し主)のうち、きちんと確定申告して納税しているのはわずか15%」
(UMIHホテル部門会長のローレン・デュック氏)に過ぎない。貸し主が偽名でも物件登録できる
という仲介サイトの「匿名性」が、脱税の温床になっているというのだ。
■「体験の共有」美名は真実か
では、誰が大もうけしているのだろうか。
UMIHの調査によると、パリ市内では「ディアーヌ」という30歳代の女性が
150もの物件をAirbnbに登録していた。
さらに驚かされるのは、イタリアの女性「ビリンダ22歳」のケース。
欧州全土で600件以上を貸し出していた。
この事実を昨年11月、英国やオランダ、ドイツなどの業界団体と共同で公表するやいなや、
「ビリンダ」はAirbnbのサイトから自身のプロフィールを削除して“雲隠れ”したという。
「これらが個人を装った企業によるビジネスであることは明白だ」とデュック氏は指摘する。
そうであるならAirbnbがアピールするような、個人と個人がサービスをやり取りし、
出会いや体験を共有するという「シェアリングエコノミー」の名に値するとはいえまい。
>>2へ続く
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