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2016.4.21 15:00
★【関西の議論】たった29人の訴えだけで…原発止めた司法に激怒、「立地県がもてあそばれている」と地元住民
再稼働していた関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が3月9日、大津地裁の仮処分決定に
よって運転を禁じられ、停止を余儀なくされた。同4号機も決定が覆らない限り再稼働できない。
2基の停止は、関電の電気料金値下げ見送りなど生活の分野に波紋を広げている。稼働中の原発を
司法判断が止めるという前代未聞の事態から1カ月余り。“原発との共生”が再び暗礁に乗り上げた
地元には、怒りや不安、不信感が渦巻いている。
■“二転三転”の司法判断
「裁判所ごとに判断が違い、立地自治体がもてあそばれているような状況だ」
3月9日、大津地裁が運転差し止めを命じた直後、報道陣の取材に応じた高浜町の野瀬豊町長は、
険しい表情で口を開いた。
過激ともとれる表現を使ったのは、過去にも同様の仮処分に振り回された経験があるからだ。
昨年4月、福井地裁が同じ2基の運転を禁じる仮処分を出した。折しも、2基は2月に原子力規制
委員会の審査に合格したばかり。3月には町議会が再稼働に同意し、再稼働に必要な地元同意の
手続きが野瀬町長の判断に移った直後のことだった。
裁判長交代後、関電が申し立てた異議が認められ、決定が覆されたのは8カ月後の12月24日。
12月に入って相次いで再稼働に同意した野瀬町長、西川一誠知事はともに、「地元同意は
司法判断とは関係ない」と繰り返したが、大きな不安材料となっていたことは想像に難くない。
「しっかりとした基軸で判断をしてくれないと、地元は困惑するばかりだ」
地裁決定を直接批判することこそしなかったが、再稼働直後に再び直面した“司法の壁”に、
野瀬町長の表情は厳しさを崩さなかった。
「29人の訴えだけで止めるなんて」
「まさかこんなことになるとはね。もうあかんわ」
高浜町のある飲食店。経営する女性(60)は客足がまばらな店内に目をやった。
原発稼働中は作業員らでにぎわうという店内は、ランチタイムのピークを過ぎてしまえば、
客の姿はほとんどない。「4年近く止まっていた間は苦しかったけどなんとか耐えた。
ようやく再稼働したところだったのに、またこんなことになってしまって」
どこかあきらめたような表情の女性はこう続けた。「地元には1万人の人がいるし、
関電の消費地にもたくさんの人がいる。それなのに29人の訴えだけで止めちゃうなんてね」
今回の仮処分は、滋賀県民29人が関電を相手取って申し立て、大津地裁で審理された。
町民の多くは、地元の意見を一切聞くことなく出された決定に、納得できずにいる。
高浜町商工会の田中康隆会長(59)も、「この地域の原発が40年以上、関西に電気を供給し、
発展を支えてきた。もちろん訴える権利はあるが、生産地のことも少しは考えてはどうか」と憤る。
一度再稼働した2基は、地元の業者も多く携わった安全対策工事も終了しており、
田中会長は「町の経済への影響はこれまで以上に深刻な状況になる」と不安を明かした。
■矛先は規制委へも
2基は規制委が「世界一厳しい」と自信を持つ新規制基準に合格した。しかし大津地裁は信頼性に欠けるとした。
地元は早期の再稼働を求める一方、原発の安全性には厳しい目を向けてきた。
規制委と司法で判断が異なる“ダブルスタンダード”に、疑念の矛先は規制委にも向けられている。
「原子力規制委員会の認可を受けた上での再稼働だったのではないか」
3月28日に開かれた福井県原子力環境安全管理協議会。県、原発立地市町の首長や議長、
原子力規制庁、電力事業者の担当者が出席し、県内の原発の状況について定期的に議論を
交わす場で、規制委に疑問を投げかける声が相次いだ。
「裁判は事業者が責任を持って対応することだ」と繰り返す規制庁の担当者に、議長役の杉本達治
副知事も「原発の安全を確保するのが規制委の責務だ。説明責任はある」と指摘。仲倉典克県議会
議長は「新規制基準を否定したということは、規制委の存在そのものが否定されたということだ。
人ごとではなく、重く受け止めるべきではないか」と強い口調で迫った。 >>2へ続く
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