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★解散・総選挙を訴えず、内閣総辞職を求める民進党の不思議 消費増税問題
2016.04.08
民進党の岡田克也代表は、安倍晋三政権が消費増税を再延期したら、
「責任を取って内閣総辞職すべきだ」と発言した。ただ、民進党としての対応は決めていないという。
消費増税に関して民進党が基本的な意見をきっちりと述べることができずに、
他党の批判をすることは疑問だが、仮に消費増税に賛成するのなら、
「自民党ができなければ内閣総辞職」というのは一応、筋が通っているようにみえる。
ただし、そうであれば、解散・総選挙を求める方がよりいいはずだ。
なぜなら、国民の信を問う形で政権交代まで訴えるべきだからだ。
民進党は政権交代まではしたくないのだろうか。
一方、民進党が消費増税に反対であれば、自民党が消費増税しなくても、文句を言えたものでない。
こうしてみると、岡田代表は本音では消費増税に賛成なのだろう。
しかし、消費増税に反対して旧民主党を離党し、今回民進党に戻ってきた人たちに配慮して、
民進党としての意見を表明せずに、安倍政権に総辞職を求めるという不徹底な言い方になったのかもしれない。
安全保障分野でも、民進党内にはいろいろ意見があり、集約できていない。
かろうじて「安倍政権の安保法」には反対ということで意見が一致しているだけのようだ。
消費増税再延期で安倍政権に総辞職を求めるというのは、自民党に代わって民進党が政権に
就くというのではなく、自民党の中で安倍政権を代えてくれといっているのに等しい。
民進党は政権交代を言わずに安倍政権の批判だけをするというのが、今回の岡田代表発言で
はっきりと浮き彫りになった。
しかも、このタイミングでの岡田代表の意見表明で、民進党はかえって消費増税に反対と
言いにくくなってしまった。安倍政権を牽制（けんせい）したつもりかもしれないが、
消費増税について従来通りの発言を繰り返している安倍政権にとって牽制効果はまったくなく、
単に民進党の政策の幅を狭めただけだ。民進党は消費増税に賛成というニュアンスが強くなれば、
国民感情からもずれていってしまうだろう。
そもそも、岡田代表が「増税こそが将来世代のためになる」と考えているのだとしたら、
残念ながら勘違いだ。増税よりも正しい経済政策によって将来にわたり経済成長を維持
させるのが将来世代のためである。
いずれにしても、このような経済観を持っている岡田氏が民進党代表であれば、
相手方の安倍首相はくみしやすしと考えて、衆院解散を仕掛けたくなるだろう。
政権交代の気概のない相手なら、勝負に出ても政権を失わないから、大きなダメージも心配する必要がない。
もし、安倍首相に「消費増税延期の責任は自分にあるので衆院選で国民の信を問う」と言われたら、
民進党は何も言えなくなってしまうだろう。 （元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一）
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