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★【高浜3、4号機差し止め】二転三転する判断、顕在化した司法リスク 「最高裁判例を逸脱」との批判も
2016.3.9 20:18
国のエネルギー政策がまた隘路(あいろ)に入り込んだ。関西電力高浜原発3、4号機について、
大津地裁は9日、安全性が確保されているとはいえないとして運転差し止めを命じる仮処分決定
を出した。同原発をめぐっては福井地裁が昨年4月に運転差し止めを命じたが、関電の異議で覆る
など判断が揺れ動いてきた。原発に求められるのは「100%の絶対安全」か、最新の科学技術に
照らした厳格な管理か-。裁判所の見方次第で結論が二分しており、再稼働を阻む“司法リスク”
が顕在化した形だ。
原発再稼働の可否に対する従来の司法判断は、原子力規制委員会の新規制基準をどうみるかで
決まってきた。
高浜3、4号機の運転差し止めを命じた昨年4月の福井地裁(樋口英明裁判長)の仮処分決定は
新基準を「緩やかに過ぎる」と指弾。災害を引き起こす恐れが万が一にもない、すなわちゼロ
リスクを保証するような内容ではないとして「合理性を欠く」と切り捨てた。
大津地裁の今回の決定も基本的な考え方は同じ。災害が起こるたび「想定外」が繰り返されて
きた過去の経緯に言及し、新基準が「公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを
得ない」とした。
高浜原発の耐震性能をめぐって関電は周辺活断層のリスクを高めに想定して基準地震動
(想定される最大の揺れ)を策定したが、大津地裁は海底を含めた徹底的な調査が行われて
いないと指摘。関電の調査が現時点の科学技術でできる「最大限」であっても「安全余裕を
とったといえるものではない」と述べ、事実上のゼロリスクを求める内容となっている。
福井地裁の差し止め判断に対しては、関電の異議申し立てを受けた昨年12月の同地裁
(林潤裁判長)決定が「何らかの程度の事故発生の危険は常に存在し、絶対的安全性を要求する
ことは相当ではない」と判示。ゼロリスクではなく、その危険性が「社会通念上無視できる程度
にまで管理されている」かどうかを俎上に載せるべきであり、その観点から「世界一厳しい」と
される新基準に不合理な点はないと結論づけた。
再稼働を容認したこの決定の判断枠組みは、四国電力伊方原発の設置許可の是非が問われた
4年の最高裁判例を踏襲したものだ。最高裁は、原発の安全性審査が「極めて高度な専門技術的
判断を伴うもの」である以上、専門家の意見に基づいて行われた行政処分に看過し難い過誤・欠落
がある場合に限って違法と解すべきだとしていた。
大津地裁はこの最高裁判例を引用し、裁判所が原子力規制委に代わって判断すべきとは考えないと
断りつつも、決定文中では新基準への不信感や疑問を随所ににじませた。元裁判官の佐藤歳二弁護士
(東京弁護士会)は「裁判所が技術論にまで踏み込み、自ら考える安全性の基準について立証を
求めており、最高裁判例を逸脱している」と批判した。
URLリンク(www.sankei.com)
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