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★G20もサジを投げた「ヤバすぎる中国経済」~選択肢は三つ。ただし、どれを選んでも崩壊の可能性
2016年03月04日(金) 長谷川 幸洋
■G20が出した結論
いったい中国はどうなるのか。いま世界中の企業や家計がこの1点を心配している。
ところが、先に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の結論はあいまいで、
矛盾を孕んだ態度に終始した。あらためて問題の核心に迫ろう。
マスコミは「中国についてG20がどんな姿勢を示すかが焦点」と連日のように事前報道した。
ところが、会議の後の報道ぶりを一言で言えば「結論はよく分からない」だった。
たとえば、2月28日付の朝日新聞は「G20『政策を総動員』 共同声明採択 市場安定化図る」
という見出しを掲げて「G20の合意が市場の安定化につながるかは見通せない」と書いた。
なんのことはない「どうなるか、分かりません」という記事である。
G20の声明には、景気回復のために「すべての政策手段(金融、財政および構造政策)を個別に
また総合的に用いる」と書いてある(URLリンク(www.mof.go.jp))。
だがそれは、何もいまさら大げさに言わなくても、当たり前の話にすぎない。
あえて書き込んだのは、マスコミ向けに「見出しになるような文言を加えたほうがインパクトがある」
と大臣たちが考えたからだろう。マスコミがそれに調子を合わせて、上っ面の言葉を見出しにする
ようでは、なめられたも同然だ。肝心なのは政策の中身である。
ちなみに「金融、財政および構造政策」というのは「アベノミクス3本の矢」でもある。ということは、
アベノミクスは経済政策の世界標準を並べてみせただけで、安倍晋三首相のオリジナルでもなんでもない。
それを「アベノミクス」というキャッチフレーズに包んで、印象深く打ち出しただけだ。
いわば当たり前の政策なのに、マスコミはあたかも新しい政策パッケージであるかのように報じてきた。
言葉と中身の虚実をマスコミはきちんと分かっているのだろうか。
本論に戻す。G20が打ち出した政策の中身を見ると、目新しさはほとんどない。
機動的な財政政策と緊密な為替協議、通貨の切り下げ競争回避、それに資本流出の監視強化である。
あえて言えば、資本規制の検討が加わった程度だ。
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
■激減する中国の「外貨準備高」
1つずつ順に評価しよう。まず「機動的な財政政策の実施」を打ち出したのは、
世界経済の下方リスクに対応するのに、金融政策だけでは十分でないと認識したからである。
現状認識はなかなか厳しい。声明はずばり「世界経済の見通しがさらに下方修正される
リスクへの懸念が増大している」と書き込んだ。
日本にあてはめれば「追加の景気対策で財政支出を増やしてくださいね」という話になる。
これを見ただけでも、消費税の再増税がありえないのは明らかである。G20が財政出動を
求めているのに、日本が増税では政策ベクトルが完全に逆行してしまう。増税どころか
減税を考えるべき局面なのだ。
日本のマスコミではG20が打ち出した方向と消費増税がいかに相反しているか、といった
解説にほとんどお目にかからなかった。経済記者たちは財務省の言い分を垂れ流しているだけなのだ。
次が「緊密な為替協議と通貨の切り下げ競争回避」。これは中国の人民元下落を念頭に
置いている。人民元が下がり過ぎると、中国の輸出が有利になる。それは他のメンバー国に
とって不利だから「為替安定のために連絡をとりあって、必要なら介入しましょうね」という話である。
ずばり言えば、中国に対して人民元下落を阻止するために「しっかり介入してくれ」と要求したのだ。
中国はいまでも強烈なドル売り・人民元買い介入をしている。それは当局が発表しなくても、
外貨準備の急落になって表面化している。2月12日公開コラムで指摘したように、中国の外貨準備は
いま毎月1000億ドルペースで減っているのだ(URLリンク(gendai.ismedia.jp))。
中国人民銀行が人民元買い介入をすると、実質的に金融引き締めになってしまう。
経済社会に出回る通貨量を吸収するからだ。いま中国は景気崩壊の淵に立っているのだから、
本来なら引き締めでなく、逆に金融緩和しなければならない。(以下リンク先で読んでください)
URLリンク(gendai.ismedia.jp)