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★マンナンバー導入でどう変わる? 現役国税マンが暴露!「2016年、我らのターゲット」
「飲食店に入ると、つい儲かっているかが気になります。職業病ですね」
東京国税局の現役調査官であるA氏は、居酒屋に入るなり、そう話した。
国民一人ひとりに12桁の番号を割り当てるマイナンバー制度。政府は将来的にすべての
財産情報をマイナンバーに紐付けることを検討している。すでに2016年以降に証券口座を
開設する場合には、マイナンバーの通知が義務化されている。またそれ以前に開設された
証券口座も18年末までに通知する必要がある。銀行口座については18年から任意で紐付けが
始まる。政府は21年以降、すべての銀行口座への紐付けの義務化を検討中だ。
A氏は「税務調査がやりやすくなることは間違いないでしょう」と話す。
「現在、銀行に取引履歴を照会する際には、その都度、上司のハンコが必要です。
有名人の口座を興味本位で調べるようなことはできません。金融機関によって対応も異なり、
履歴の提供まで何週間もかかることもある。だから情報提供などのきっかけがなければ
調べません。しかしマイナンバーでの紐付けが進めば、『年収の数倍の入出金』といった
異常値を自動的に検知できるようになるでしょうね」
すでに株式市場は当局の監視下にある。インサイダー取引など異常な取引があればアラートが
出る仕組みだ。同じレベルの監視が、銀行間の取引でも実施されれば、税務調査は大きく進む。
国税の目下の悩みは「実調率」の低下だ。実地調査の割合を示す指標で、13年分では法人が3.0%、
個人が1.0%だった。つまり確定申告をする個人は100年に一度しか実地調査を受けないことになる。
A氏は言う。
「申告件数は25年前に比べて1.3倍に増えていますが、国税庁の職員数はほぼ横ばいで、
現場は逼迫しています。実調率を上げるためにも、マイナンバーの導入を進めてほしいですね」
これに対し、10年間、国税調査官を務めた経験をもつフリーライターの大村大次郎氏は
「マイナンバーの導入は国税の悲願だった」と話す。
「公平で効率的な税制を実現するうえで、本来、最も重要なことは国民の資産の把握です。
ところが、これまで『所得』は把握できていても、『資産』はわからなかった。
このため所得を少なく見せかけている富裕層には、適切な課税ができなかった。
マイナンバーは国税にとって待望の武器なのです」
将来的には国民の全財産を国が把握できるようになる。その点を「監視国家のはじまりだ」
と批判する声もある。しかし大村氏は「普通のサラリーマンが困ることはなにもない」という。
「徴税強化のターゲットは所得や資産を隠している富裕層です。ひとつの企業から収入を
得るだけのサラリーマンは、すでに所得を把握されています。これに対し、富裕層は複数の
企業から報酬を得たり、不動産収入や株式配当があったりするので、所得の把握が難しい。
なかには『収入の一部を簿外の預貯金口座や他人名義の口座に振り込ませる』『資産を家族
名義の貯金口座に分散する』といった手口で脱税を企てる人もいる。そんな悪質な手口に対して、
マイナンバーは防犯カメラのような役割も果たすはずです」
「防犯カメラの精度が上がれば、犯人の検挙率も上がります。これまでは調査官の勘や経験が
頼りでした。怪しいと睨んだ企業や個人を、証拠がなくても調べはじめる。職務質問のような
ものです。そのため『税務調査に誤爆はつきもの』と言われていた。『誤爆』が減れば、
税務調査はより効率的になり、調査官の負担も減るはずです」 (以下略)
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