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★【直球&曲球】日本の漁師が漁をできなくなった尖閣の海 「国防女子」葛城奈海
2016.2.4 08:50
いったいこの国に、国土や国民を守る気はあるのだろうか? 先月15日、石垣島の漁師たちが
尖閣諸島へ漁に行った。片道170キロの東シナ海を渡っていったというのに、ただの1匹も魚は
釣れなかった。なぜか。尖閣の2マイル(約3700メートル)以内に近づこうとすると、
「日本人の上陸」を警戒する海上保安庁の巡視船やボートに阻まれた。それもあまりに近付くから、
漁具を下ろしても魚がかかるはずもない。揚げ句、「中国公船が接近」してきたため逃げるように
指示され、空身で帰ってきたのだ。
平成22年の中国漁船衝突事件への政府の対応、特に命懸けで国の尊厳を守った海上保安官たちの
崇高な行為を、事なかれ主義の国が踏み躙(にじ)ったと感じた私は、政府がそんな弱腰なら国民が
国家の意思を示すしかないと、同じ志を抱く仲間や石垣の漁師たちと、これまで15回、尖閣海域へ
行った。当初は、上陸こそ禁じられていたものの島々に肉薄して漁ができた。
しかし、24年の国有化後、私たち漁船が島の1マイル以内に近づこうとすると海保に阻まれる
ようになった。一方で、中国公船はその内側を遊弋(ゆうよく)しているのだ。なんという倒錯
した光景であろう。一昨年からは、私たちの出港さえ認められなくなった。そして、今回である。
この対応はどういうことか。「日本の領海」なら、日本の漁師が漁をするのは当然で、それを脅かす
外国船がいるなら、日本漁船を守って漁をさせるのが海保の務めではないのか。ところが、中国公船
にはアリバイ作り程度に領海外への退去を呼びかけはするものの、実質的には事なかれ対応に終始し、
日本漁船を追い払う。事実上、中国の増長を手助けしているのである。命令とはいえ、真に国を
思う海上保安官ならやりきれないだろう。
「あそこは、もう日本じゃないよ」。船長が告げる実態を、政府は、国民は、どう受け止めるのか。
「主権、領土、領海を守り抜くことは、自由民主党が国民から課せられた使命です」。
前日の『尖閣諸島開拓の日式典』に寄せられた、安倍晋三首相のメッセージがむなしい。
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【プロフィル】葛城奈海
かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、キャスター、俳優。昭和45年東京都出身。
東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長、
林政審議会委員。著書(共著)に『国防女子が行く』(ビジネス社)。
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