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★デンマーク、難民の財産没収法を可決 欧州の強硬姿勢に拍車
2016.01.27 Wed posted at 10:42 JST
デンマーク・コペンハーゲン(CNN) デンマーク国会は26日、難民認定申請者から
当局が現金や貴重品を没収して経費に充てることを認める法案を賛成多数で可決した。
採決では81人が賛成、27人が反対し、1人が棄権した。
法案は、難民申請をした人の現金や所持品が1万デンマーク・クローネ(約17万円)を
超す場合、当局が超過分を没収できるとする内容。腕時計や携帯電話、コンピューター
なども対象となり得る。一方、例外として結婚指輪や婚約指輪、家族写真、勲章やメダル
といった「特別な思い入れのある貴重品」の没収は認めない方針。
デンマークは寛容度が高くリベラルな社会民主国家として国際的な評判も高く、
国民からは同法案に対して批判の声も根強かった。
与党・自由党は同法案の目的について、難民認定申請者にも同国の手厚い福祉制度に貢献
してもらうためと説明。自由党の広報は先月の時点で、「デンマーク国民もわが国に来る
難民も同じ医療が受けられ、就学前から大学までの教育や高齢者福祉の対象にもなる。
言語教育なども政府が費用を負担して無料で受けられる」と強調。「デンマーク国民であれ
難民であれ、もし住居費や食費の支払い能力があるのなら、支払わなければならない」
と説明していた。
同様の法律はスイスやドイツにも存在していて、スイスでは生活費に充てるため資産を没収
される難民が相次いでいる。ドイツで警察による資産の没収がどの程度行われているのかは不明。
デンマーク議会では、難民認定申請者が離れ離れになった家族の呼び寄せを申請できるように
なるまでの期間を1年から3年に延長する法案についても採決が行われた。右派・デンマーク
国民党の広報は、「家族を連れてくるのが難しくなれば、デンマークに来る人の数は減る」と話す。
デンマークに滞在しているシリア難民の女性は、これでシリアに残してきた9歳の娘を呼び寄せる
のが難しくなるため、デンマークに在留する気はなくなったといい、「もし私がここで死ねば、
娘は自分の母親がどこに埋葬されたのかも分からなくなる」と語った。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルや赤十字、国連難民高等弁務官事務所なども
デンマークの対応を批判。国民からも、ナチス・ドイツがユダヤ人の貴重品を没収した歴史
を思い起こさせるといった声が上がっている。
こうした政策は、スカンジナビア諸国や欧州全土で難民に対する強硬姿勢が強まっている傾向を
物語る。欧州には昨年だけで100万人を超す難民が流入。積極的に受け入れる姿勢を示してきた
スウェーデンやドイツでさえも、増え続ける難民の数や、難民が関与したとされる事件が大きく
報じられたことを受け、徐々に反感が強まりつつある。
スウェーデンは昨年11月から国境警備を強化して、同国に流入する難民を減らすための規定を
導入した。ノルウェーは先週、ロシアとの国境を越えて入国しようとした難民の送還に踏み切っている。
URLリンク(www.cnn.co.jp)