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★【神奈川】外国人と共に歩む(1)イスラム教徒 県内17万人暮らす人、支える人
2016年1月1日
シリア難民が国際問題となる中、日本には、難民こそ少ないものの、200万人以上の外国人が暮らす。
幕末に海外に門戸を開いた神奈川にも全国4位の17万人が住み、社会にさまざまな変化をもたらしている。
県内に移住した外国人や彼らを支える日本人から、共生のヒントを探りたい。
大きな鍋に入った豆スープやチキン、ご飯から湯気が立ち上る。その量ざっと二百人分以上。
「おなかいっぱい食べてくださいね」。スリランカ出身のムスリム(イスラム教徒)で、来日十六年の中古車輸出会社
経営シディック・ノフマンさん(48)=綾瀬市=が笑顔を見せた。二〇〇〇年に開設された海老名市上郷の
モスク(イスラム教礼拝所)で、礼拝を終えたムスリムが食事をしている。
モスクには、県央地区を中心としたインドネシア、スリランカ、パキスタンなどの出身者約五百人が訪れる。
英語や日本語が“共通語”。この日は土曜日で、ムスリム以外の日本人にも無料で食事が振る舞われた。
「モスクを訪ねてくれる人は大歓迎。自分たちを知ってもらいたいから」
〇一年の米中枢同時テロの後、周囲の日本人から「どうしてイスラム教徒は悪いことばかりしているのか」と
聞かれることが多くなった。イスラム教と暴力、テロが同義語ととらえられるたび、心を打ち砕かれた。
「彼らと同じに見られていることが悲しい。イスラム教は平和の宗教。目の前に困った人がいたら手を差し伸べる。
これがイスラム教の教え」
東日本大震災が起きると、「逃げるのではなく、自分たちでできることをしよう」と声が上がった。出身国が〇四年の
スマトラ沖地震による津波などの自然災害に見舞われた時、手を差し伸べてくれたのが日本人だったことも忘れて
いなかった。集まった寄付金で十日後には約三十人で被災地に赴き、温かいカレーを振る舞った。
取り組みを知った日本人からも、食料や衣料品がモスクに届けられた。仕事は休んで約二カ月、被災地と海老名
何度も往復。宮城県気仙沼市で宿泊先を提供した旅館「椿荘花月」の村上盛文さん(42)は「異国の地で、
自らの身を切る形で足を運んでくれた。イスラム教が平和な宗教だと分かった」と振り返る。
昨年は、過激派組織「イスラム国」(IS)による犯行とされる日本人殺害事件やパリ同時多発テロが発生。
「ジハード(聖戦)」が、イスラム共同体の防衛・拡大のための戦いという意味で知られるようになったが、
ノフマンさんは説明する。「本来の意味は神の道のために奮闘努力すること。家族のために一生懸命働くことや、
困っている人を助けることもジハードです」
「日本は平和な国。ルールや約束を守り、ウソをつかない人が多い」という印象を抱く。モスクの近所に住む日本人に
お菓子などのプレゼントを配り、交流を深めることも計画している。「今までも行ってきたが、この時期だからこそ余計に
われわれを理解してもらいたい。大切なのは人と人とのつながりです」 (寺岡秀樹)
<ムスリム(イスラム教徒)> 唯一神アッラーに帰依し、ムハンマドを最後の預言者、使徒として認め、神の啓示を
まとめた聖典コーランの教えに従う。1日5回の礼拝や断食、喜捨などが義務とされる。世界に16億人おり、
キリスト教に次いで多い。日本では1980年代後半のバブル経済期に来日するムスリムが増加。
現在は、ムスリムとの結婚などを機に改宗した日本人約1万人を含め、11万人ほどいると推計されている。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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