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★地道な関係改善に期待 慰安婦問題合意で県内反応
2015年12月29日
日韓両外相が二十八日、懸案の慰安婦問題について協議し、関係改善に向けて合意したことを受けて、
県内でも好意的に受け止める声が両国関係者から上がっている。一方、韓国の日本大使館前にある
従軍慰安婦像や、日本人によるヘイトスピーチ（憎悪に基づく発言）に対する不信感も根強く残り、
地道な関係改善に期待する意見が多いようだ。
福井市内で焼き肉店を営むソウル市出身の安日東さん（３４）は「（従軍慰安婦問題は）昔のことなので
気にしていなかったけど、解決できて良かった」と、ほっとした様子。両国の関係改善に期待を寄せた。
韓国と取引のある企業は県内に八十社ほど。県立大地域経済研究所の松尾修二准教授（韓国経済）は、
「政治外交上の懸念が妥結したことは両国貿易には明るい材料」とする傍ら、「政治的影響がどの程度
あるかは今後を見極める必要がある」との見方も示した。
慎重な見方は、市民にも根強い。敦賀市の五十代の韓国籍女性は「けんかをしながらでも仲良くなれる
道はあると思う。でも、ヘイトスピーチは恐ろしかった」。一方、鯖江市の男性（４６）は「従軍慰安婦像が
本当に撤去されるのか。またぶり返されることがないようにしてもらいたい」と、韓国の出方を注視する姿勢を示した。
外国人実習生権利ネットワーク・福井の事務局長を務める高原一郎さん（６４）は「最終的、不可逆的に解決した」
との文言を疑問視。「これでは臭い物にふたをするよう。本当に反省しているなら歴史的検証を続けて、
しっかり向き合う責任がある」と強調する。
日韓関係が極度にこじれたのはわずか数年だが、その後遺症を懸念する声は多い。
◆水原市と友好都市、福井市の職員「歓迎」
韓国・水原市と友好都市の福井市の職員からは、関係改善に胸をなで下ろす声が聞かれた。
二〇一二年には歴史問題が原因で、水原市長の訪問が中止になった。昨年には同じく姉妹都市提携する
米・フラトン市で従軍慰安婦像の設置が検討され、福井市の東村新一市長がフラトン市に反対の親書を送付。
同市が今夏、設置を見送った経緯もある。
自身も韓国での勤務経験のある公務員男性（２７）は「国家間の問題で交流が途絶えることがなくなるのはうれしい」と歓迎した。
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