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★<談論誘発>多文化共生の基本法を ビジョンづくり 自治体がリード
2015年12月20日
◆明治大国際日本学部教授・山脇啓造(やまわき・けいぞう)氏
日本で暮らす外国人は、一九九〇年代以降大きく増えたが、二〇〇八年に始まった世界経済危機と
東日本大震災の影響でわずかながら減少、いま再び増加傾向である。六月現在約二百十七万人だ。
政府は建設や介護、観光やITなど多様な分野での外国人材活用の方針を打ち出し、一部閣僚から
移民政策の検討を求める声も挙がっている。グローバル化の中で活力ある経済社会を築き、
人口減少や少子高齢化の中で「地方創生」を実現するため、外国人の受け入れはさらに進むだろう。
女性や高齢者、そして外国人も含めた多様な人々が活躍する新しい社会のビジョンを描く必要がある。
これからの日本にとって多文化共生社会の形成が大きな課題となる。
そのためには外国人政策の改革が必要だ。外国人政策は外国人の出入国管理にかかわる政策
(出入国政策)と入国した外国人を社会の構成員として受け入れる政策(社会統合政策)からなる。
出入国政策は国の所管だが、社会統合政策は国と自治体が連携して取り組むべき分野である。
日本では、社会統合政策は主に外国人住民の多い自治体が担い、国の取り組みは大きく遅れてきた。
二〇〇一年に外国人労働者の多い自治体が結成した「外国人集住都市会議」はこれまで、
多文化共生の地域づくりに取り組むとともに、国に外国人の受け入れ体制の整備を求める提言を発表し、
国の社会統合政策構築をリードしてきた。
近年では「多様性」をキーワードに、国籍や民族にかかわらず多様な住民が活躍する地域づくりを
進める自治体の取り組みが活発になっている。二〇〇〇年代後半にヨーロッパで始まり日本の自治体
にも広がりつつある。代表例が一三年に多文化共生都市ビジョンを打ち出した浜松市である。
来年初めには、東京都も「世界をリードするグローバル都市」をめざすため多文化共生推進指針を策定する。
一方、人口減少対策の観点から、広島県安芸高田市のような地方の小規模自治体においても多文化共生の
取り組みが始まっている。今後国内外からの移住者を求めて多文化共生の地域づくりを進める自治体が
増えていくだろう。十七日に浜松市で外国人集住都市会議が開かれた。会議では、十五年の歩みを
振り返るとともに、多様性を地域の力とする取り組みについて討議した。自治体の成功事例を参考に、
国も多文化共生社会のビジョンを描く必要がある。そして、それを具体化するため、多文化共を
推進する基本法の制定と担当組織の設置が不可欠である。移民政策、多文化共生が専門。
2012年度にオックスフォード大学で欧州の移民政策を研究。
◆外国人集住
<村山俊明氏 (群馬県大泉町長)の意見要約>
(1)大泉町は外国人が人口の約16%で、ブラジル人が目立つ。町が直面する課題も多く、
自民党に施策を一元的に担う「外国人庁」の設置を要望した。
(2)課題の一つは税金滞納。日本語をマスターしないで来日するため、企業で意思疎通できず
生活保護者も。国が不納・欠損の半分を担保、企業側に元引きさせて納税義務を課すのも方法ではないか。
(3)子どもの教育問題も。ある公立学校では日本語が分からない外国人が17人転入。
やがて登校しなくなり、就職もできない。町の課題は全国に波及する。対応を考えないといけない。 (12月13日付)
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