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第56回海外日系人大会=大会宣言の全文を掲載
2015年11月17日
私たち海外各地および在日の日系人代表・有志は、2015年10月27日~29日の3日間にわたり、
東京で開催した第56回海外日系人大会で、『戦後70 年―日本の歩みと海外日系人』を総合テーマとし、
全体会議および三つの分科会(①戦後70年の日本と日系社会、②日本の企業進出と日系社会、
③戦後70年 の学びと世界への提言)において熱心に討議しました。その結果、次の7項目の決議を採択
したことを大会の成果として宣言いたします。
◎ ◎
(1)『戦後70年の経験を踏まえ、より一層日本との架け橋となると同時に、海外日系人が戦後培った遺産の継承につとめます』
私たち海外日系人は、第2次世界大戦中、日本と在住国との間の様々な軋轢の中で極めて厳しい状況に置かれ、
苦しい時代を経験しました。しかし戦後一人ひと りが努力を積み重ね、今日ではそれぞれの国の国民として確固たる
地位を築いています。終戦直後、深刻な食糧・物資不足に見舞われた日本に対する LARA(アジア救援公認団体)の
救援活動には、多くの海外日系人が参加しましたが、その気持ちに日本が感謝するしるしとして開催した集まりが
海外日系人 大会であり、今日まで毎年続いて開かれているものです。
戦後70年の今年、私たちは過去の歴史を振り返り、次世代へと歴史をつないでいくことの 大切さを、改めて痛感しています。
一例がインドネシアで、一世はすべて他界しましたが、残留日本兵が創設した福祉互助会を二世が引き継ぎ、日本語学校や
自閉症児のための学校運営を続けています。その一方で、戦争の終結とともに親子が別れ別れとなり日本人であることの
証明書類を喪失し、今なお就籍 を求め苦しんでいる事例がフィリピンにはみられます。また、日本政府による被爆者健診が
実施されてはいますが、広島、長崎で被爆された一世、二世の海外在 住者が1000人を超える事実も忘れることはできません。
戦後70年の経験を踏まえ、私たちはこれからも、「平和国家」として歩んできた日本と 社会・経済・文化など様々な分野で
「絆」を大切にし、在住国と日本との架け橋となり関係強化に努めていきます。それと同時に、戦後、海外日系人の先人が
作り上げてきた有形・無形の遺産の継承の重要性を訴えます。
(2)『日本文化、日本語の継承・発信に努める日系団体の活動に理解と支援を望みます』
各国で開催されている「日本祭」は、地域市民を巻き込み、日系人以外も参加する行事に発展しています。
日系人団体が主催する行事が地域の祭りとして定着し、日本文化の普及に繋がっていることを理解し、
日本社会とりわけ政府の理解と支援を望みます。 日系社会では日本語の初等、中等教育に力を入れてきましたが、
最近では高等教育に取り組んでいるところも出て来ています。フィリピンでは、日系の「ミンダ ナオ国際大学」が設立され、
ブラジルでは2016年度からは総合大学の協力を得て「日本語教師養成コース」を開設する計画が上っています。
日本の国際戦略 にとり、日本語の普及・国際化は欠かせません。この分野の日系人の活躍に日本政府の支援と連携を望みます。
(3)『日本企業の海外進出増勢に当たり経営の現地化とともに、重要なパートナーとして日系社会との連携を期待します』
日本企業の国際化が一段と進んでいる状況ですが、進出先に定着し経営の安定化を図るには現地化が不可欠であると考えます。
日系人の在住国の大部分は、多くの民族で構成されています。中でも長い移住の歴史がある国では、日系人は国家と国民から
信頼と信用を得ていると自負してい ます。多民族社会における競争と共存の智恵を身に付けているのが、私たちの強みです。
日本で就労・勉学の経験を積んだ人材も輩出しています。日系人のこう した潜在力を評価し、ビジネス・パートナーとして
連携されるよう期待します。 >>2へ続く
URLリンク(www.nikkeyshimbun.jp)