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★逆風のロシア経済 資源価格低迷で先行き不透明 日本には好機だが…
2015.11.18
10月31日に墜落したロシア機をめぐり、過激派組織「イスラム国(IS)」は、
シリア介入への報復として墜落させたと主張していたが、露当局は爆破テロとの調査結果を発表した。
一方、ロシアでは、世界アンチドーピング機構の第三者委員会が陸上界の組織的なドーピングを
認定したことも大きな話題となっている。プーチン大統領は「責任は個人が取るべきだ」として、
ロシアへの責任追及を避けようとしている。
こうした国際的な騒動に加えて、ロシア経済は原油価格の低下によって、かなり悪化している。
プーチン体制下で問題が相次いでいることは、日本の外交や経済にどのような影響があるのだろうか。
ロシア経済が低迷しているにもかかわらず、プーチン大統領の支持率は高い。
国内が混乱したときでも上昇する傾向があるのは、プーチン大統領以外にロシアを救えないと
多くの国民が信じているからといわれている。クリミア併合でロシア国民のナショナリズムを高揚させた後、
欧米による経済制裁で国内が混乱しても、支持率は上昇した。最近のシリア空爆でもやはり支持率を高めた。
今回のロシア機墜落やドーピング問題で海外から追及されると、またプーチン大統領の支持率が
上昇するのだろうか。そういえば、プーチン大統領の支持率は90%程度であるが、そろそろ100%を
超えるという冗談もある。
しかし、ロシア経済は上向く気配がない。米国が年内に利上げしようとしているが、これは金融引き締めなので、
基本的には商品価格を下げる要因だ。しかも、商品市場の最大の需要国である中国の景気が減速している。
このため、商品市場、特に原油価格が持ち直す気配は、今のところあまりない。
ロシア経済は原油価格の上下で決まることから、先行きは明るいとはいえないだろう。
この点は、日本の外交にとってチャンスである。プーチン大統領は、日本が経済制裁したことについて立腹しているが、
日本の経済力はのどから手が出るほど欲しいはずだ。
もっとも、ロシア国内で、プーチン大統領以外の政治家が出てこないとプーチン体制は揺るがない。
これは日本にとってジレンマとなる。プーチン大統領の国内基盤が強くないと交渉にならないが、
強すぎると日本側の投げるボールに乗ってこない。
日本としては、プーチン大統領との交渉のパイプを維持しながら、プーチン大統領が日本の土俵に乗ってくることを待たなければならない。
プーチン大統領は、なかなかの戦略家であるので、持久戦になるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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