15/11/18 11:29:55.68
★【社会】沖縄・先島諸島 陸自配備に揺れる住民
2015年11月17日 朝刊
陸上自衛隊は九州・沖縄で南西防衛を目的にした実動演習を十九日まで行っている。
防衛省は中国を強く意識し、陸自の空白地域だった沖縄県の先島諸島への部隊配備を進めている。
宮古、石垣、与那国それぞれの離島では配備をめぐり、住民らが対立。
賛成派が「自衛隊誘致＝島おこし」を掲げるのに対し、反対派は「配備による地方自治の崩壊」を訴える。
自衛隊に揺れる離島の現状をみた。 （編集委員・半田滋）
■与那国島（与那国町）
町有地でもある牧場地で駐屯地の建設が進む。新設されるのは航空機や艦艇の動向を探り、
中国軍の通信を傍受する沿岸監視隊だ。先島配備のきっかけになったのが、この島だった。
二〇〇九年六月、外間守吉（ほかましゅきち）町長は東京の防衛省ヘ出向き、陸上自衛隊の配備を訴えた。
防衛省にとっては願ってもない話。翌一〇年には「防衛計画の大綱」を改正し、南西防衛、島しょ防衛を打ち出した。
自衛隊誘致は島にとって窮余の一策だった。島と台湾との距離は、石垣島より近い百十キロ。台湾との交流による
「島おこし」を目指し〇五、〇六年に、台湾－与那国間の航路開設を含む「国境交流特区」を国に申請したが、
門前払いされた。そこで、島の振興を自衛隊に懸けようというのだ。
配備決定で、防衛省から補償金二億円の他、町有地の借料が毎年一千五百万円支払われることになった。
外間町長は「経済効果は抜群だ。私は『自衛隊バブル』と呼んでいる」と喜ぶ。
ただ、島では住民の意見は分かれ、今年二月には住民投票が行われて、賛成が六百三十二票と
反対四百四十五票を上回った。配備反対の田里千代基（たさとちよき）町議は「有権者が千百人の島に
自衛隊とその家族を合わせて二百人の有権者が来る。地方自治が自衛隊の意向で左右される」と心配する。
■宮古島（宮古島市）
航空自衛隊のレーダー基地があり、道路には「これ以上の自衛隊配備反対」ののぼりが立つ。
防衛省は地対空・地対艦ミサイル部隊、警備中隊など七百人の陸自部隊を二カ所に分けて配備する計画だ。
賛成派の垣花健志市議は「尖閣諸島まで漁船が近づけない現実がある。自衛隊が来れば、国の資金を使って
地域振興を図ることもできる」と経済効果にも期待する。
ミサイル部隊の予定地近くに住む石嶺香織さんらママさんグループは七回にわたり、自衛隊配備をめぐるシール投票を行った。
反対三百六十六枚、賛成六十七枚、どちらともいえないが九十五枚だった。
市には説明会の開催を求める公開質問状を出したが、下地敏彦市長は「説明会は防衛省がやるべきだ。
市への依頼があれば仲介したい。市としても、開催を申し入れている」と回答。
石嶺さんは「市の姿勢はまるで人ごと。配備が既成事実化されてしまう」と憂える。
■石垣島（石垣市）
今年五月、防衛副大臣が市長室を訪れ、配備へ向けた調査への協力を要請した。先島諸島の中で最後の配備が予定される。
市職員労働組合の新盛（しんもり）克典書記長は「竹富島、西表島など魅力ある離島を抱え、本土や台湾からの観光客で
地域経済は潤っている。自衛隊配備は観光にマイナスになる」と指摘。配備に反対する石垣・九条の会の新垣重雄事務局長は
「尖閣問題が配備の口実になっている。日本政府はまず尖閣問題を解決すべきではないか」と話す。
一方、八重山防衛協会の三木巌会長は、尖閣諸島が石垣市に含まれる点を強調し、「中国は尖閣を取るだけではすまない。
次には先島諸島も、となる。自衛隊を置いて戸締まりをしっかりすることが大事」と訴えた。
URLﾘﾝｸ(www.tokyo-np.co.jp)
URLﾘﾝｸ(www.tokyo-np.co.jp)