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★諫早開門、差し止め維持 長崎地裁、国の異議認めず 国などへ解決努力促す
2015.11.11 10:56
長崎地裁は10日、国営諫早(いさはや)湾干拓事業(長崎県)の開門調査差し止めを
命じた同地裁の仮処分決定に対する国の異議を退ける決定を出した。国は平成22年の
福岡高裁確定判決で開門を命じられている。差し止めの仮処分決定が維持されたことで、
国は相反する義務を負う現状が続く結果となった。農林水産省は決定を不服とし、
福岡高裁に抗告した。
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決定理由で松葉佐隆之裁判長は「開門すれば農地の塩害、潮風害、水源の一部消失など
、営農者の生活基盤に関わる重大な被害が生じる可能性がある。国が事前に実施する
としている対策工事の実効性にも疑問がある」と指摘。さらに「開門しても漁業環境が
改善する可能性は高くない」との判断を示した。
審理で国側に補助参加した開門派の漁業者らは、開門によって諫早湾や有明海の
漁場環境が改善すると主張したが、地裁は認めなかった。
開門調査は、潮受け堤防排水門を5年間にわたり開放し、干拓事業と有明海の漁業不振
との因果関係を調べる目的。福岡高裁判決が命じ、当時の民主党政権が上告せず、
開門が確定した。
営農者側は開門差し止めを求めて提訴し、長崎地裁は訴訟の判決に先立つ暫定的な
処分として差し止めの仮処分決定を出していた。訴訟は既に結審しているが、
地裁は国や営農者、漁業者に和解に向けた協議をするよう促している。
国は開門義務を履行していないため、漁業者に制裁金(1日90万円)を支払い続けている。
開門すれば営農者に制裁金を支払わねばならない。確定判決とは別の漁業者が開門を求めた
訴訟は1、2審で退けられ、上告したため、最高裁で開門の可否が初めて審理される見通し。
10日の長崎地裁決定は、諫早干拓の開門差し止めを認めた。決定は暫定的な判断で、
判決前に必ずしも示す必要はない上、訴訟が既に結審し、判決を出せる状態なのに、
裁判所はあえて決定を先行して出した。後の判決が国や漁業者に不利な内容となる
かもしれないと想定させることで、解決に向けた努力や譲歩を促したサインと言えそうだ。
開門を命じた平成22年の福岡高裁判決が確定している以上、関連訴訟でどのような
判断が示されようと、国が負った開門義務は残る。関連訴訟を担当している福岡高裁も、
司法の場での最終解決に否定的な見方を示す。
福岡高裁と長崎地裁は国、営農者、漁業者ら当事者に和解に向けて話し合いの場を持つよう
勧告した。確定判決という強い武器を持つ漁業者は応じる姿勢を見せたが、営農者は
「開門が前提では応じられない」と拒絶し、国も営農者らの拒絶を理由に断り、
行き詰まったままだ。
一方、森山裕農水相は同日、「開門と開門禁止の相反する義務を負っていることに
変わりはなく、最高裁の統一的な判断を求めたい」とする談話を発表した。
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