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★ますますドツボにはまるメルケル首相 ~難民問題は、「善意」や「人道主義」だけでは解決しない!
中東・シリア情勢は混迷を極め……
2015年10月23日(金) 川口マーン惠美
■難民政策がらみで女性政治家が刺傷
10月17日、ケルン市長選の有力候補者であった女性政治家、ヘンリエッテ・レーカー氏が首をナイフで刺され、
重傷を負った。翌日が投票日だったので、朝9時、最後のお願いで街角に立っていたところを賊に襲われたのだ。
犯人はすぐに捕まったが、動機を聞かれ、レーカー氏の難民政策が気に食わなかったと言っているらしい。
彼女は無所属だが、現在の政権でも移民問題担当で、リベラルな移民政策を展開していた。
翌日の選挙では、極右の暴力に屈するものかと市民が一致団結したらしく、レーカー氏は絶対多数を獲得し、
市長に選ばれた。しかし、現在、脳低温療法のため、人工的にひき起こされた昏睡状態で集中治療室に横たわっている。
メルケル氏が、9月初旬、ハンガリーに溜まってしまったシリア難民を例外的に引き受けると宣言して以来、
9月5日から10月15日までの6週間で、40万9000人もの難民がドイツへやってきた。
さすがにこのままでは収拾がつかないとして、早急に数の上限を定めて、秩序だった受け入れを実施すべき
だという声は与党内でも高いのだが、メルケル氏は、「政治難民の受け入れに上限はない」として断固譲らない。
しかし、そのおかげで、受け入れを義務付けられている州政府、
また、その下で実際に受け入れに当たっている自治体が、ものすごく困っている。
その混乱ぶりはこのコラムでもしばしば書いているので繰り返さないが、
ドイツは今、解決法のない困難に遭遇していると言っても過言ではないだろう。
■難民の行軍は悲惨そのもの
10月21日、市町村の長、215人が連名で、難民の流入をストップして欲しいという嘆願書をメルケル首相宛てに出した。
ドイツの与党内では2週間ほど前から、オーストリアとドイツの国境のところに難民ゾーンのようなものを
作るという案が出ている。そこで難民を登録し、審査を行い、ドイツに入れる人と、入れない人を速やかに
分けようという計画だ。
ただ、ドイツとオーストリアの国境は長く、しかも何の障壁もないので、そんな関門を作っても、
右からも左からもドイツには入れる。そうでなくても現在、国内の治安維持に四苦八苦している
連邦警察局の長官は、難民ゾーンを作るなら、まずドイツとオーストリアの国境に壁を作らなければ
ダメだと発言し、ひんしゅくを買った。
しかし、彼の言っていることは事実だ。それ以外に難民ゾーンなど機能する道理がない。
これまで難民の通り道となっていたハンガリーは、セルビア、およびクロアチアとの国境を完全に閉めた。
もう難民はハンガリーを通り抜けることはできない。そこで彼らは、セルビア→クロアチア→スロヴェニア
→オーストリアというルートを取り始めた。
ただ、このルートは悪路の上、ユーゴ内乱の時の地雷も完全には撤去されていない。
しかも、現在、気温が下がり、冷たい雨が降り続いており、道は極度にぬかるんでいる。
難民の行軍は1ヵ月前とは比べ物にならないほど困難な状態になっている。
しかも、スロヴェニアは、自国を通過しようとする難民のあまりの数の多さに驚いて、軍隊を出して
クロアチアからの難民の流入を防ごうとしている。しかし、同じく困っているクロアチアは、
構わずどんどん送り込む。
二進も三進もいかなくなって、泥濘の中で立ち往生している人たちの姿は、すでに悲惨を通り越している。
21日のニュース映像では、どうにかして先に進もうと、暗闇の中、川に首まで浸かって渡河している
人々の様子が映し出された。水温は8度だそうだ。濡れた衣服は乾かない。これから寒さは本格的になるから、
どうにかしないと、赤ん坊、年寄り、子供の順に死者が出ても不思議ではない。
■シリア情勢の鎮静化は一筋縄ではいかない
この悲惨な状況に終止符を打つ方法はただ一つ、元を断つしかないという当たり前のことが、
今、ようやく真剣に取り沙汰され始めた。
>>2へ続く
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