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★米専門家が警告「南シナ海は中国の主戦場ではない」、中国が真っ先に狙っているのは台湾と南西諸島
2015.10.7(水) 部谷 直亮
南シナ海における中国の人工島建設に対して、米国で注目が高まっています。
日本でも南シナ海での自衛隊による哨戒活動を実施すべきとの議論が政府内外でありますし、
米海軍幹部からもこれを望む声が出ています。
これらの動きは、南シナ海が中国にとっての主戦場と見据えてのものですが、これに対する異論が
米国の専門家から出ています。「プロジェクト2049研究所」の研究員であり、中台の軍事問題を
専門とするイアン・イーストン氏は「南シナ海は中国にとっての主戦場ではない。これは台湾などから
目をそらすための戦略的欺瞞であって、これに引っかかってはならぬ」と警告しているのです。
■南シナ海における中国の行動は欺瞞
イーストン氏は、9月17日に寄稿した論文で、米国の最高の戦略家たちが、
中国の軍拡の目的を誤解してきたと指摘します。彼は、「中国は、自らが非常に重視している台湾から、
米国の注意をそらすために南シナ海問題を利用しており、国防総省は間違った想定および投資計画に
誘導されてしまっている」と指摘します。彼の主張を簡単にご紹介しましょう。
* * * *
2011年以来、米国における主要な研究者は、南シナ海が21世紀における主要な軍事および安全保障上の
問題となると確信していた。つまり、南シナ海こそが、現代の独ソ国境であり、南シナ海の中国艦隊は、
新しいソ連の戦車軍団なのだと。
その結果、国防総省と国務省は、新たな脅威に対処するために緊急の努力を実施し、
オバマ政権は安全保障関連の援助とトップレベル訪問を認可してきた。具体的には、ミャンマーとの関係を進展させ、
ベトナムに対しては武器禁輸を緩和し、安全保障上のパートナー国とした。海兵隊はフィリピンとオーストラリアに展開し、
空軍の戦闘機・爆撃機・無人機は空を覆っている。
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しかし、これは中国の「攻撃的なメッセージ」を真に受けた結果である。
中国は南シナ海で米艦艇との事件を引き起こし、フィリピンとベトナムが領有権を主張する海域で弱い漁船を略奪し、
多くの人工島を建設・軍事化を進めている。これは、それ自体が目的なのではなく、各国の対中脅威感を最大化し、
中国にとっての危険を最小化するための慎重な行動なのである。
これは中国の主な戦争計画を考えてみれば分かることである。そもそも、中国の軍拡は、台湾侵攻のためであって、
南シナ海のためではない。国防総省と海軍情報局からの報告書によれば、台湾侵攻は、人民解放軍の
核心的な任務である。なぜならば、中国の権威主義的なリーダーシップは非常に不安定であり、そのような中で、
台湾は中国共産党による支配を政治的に揺るがしかねない存在だからである。つまり、台湾は中国語圏における
自由の灯台であるがゆえに危険なのである。
中国にしてみれば、米国の勢力圏から台湾を奪取しない限り、大国としての歴史的な台頭は完了しない。
その時、ようやく中国は、日本と韓国を支配し、地域における覇権を握るために第1列島線を突破することが
できるようになるのである。
中国の軍事思想について最も詳細かつ信頼できる中国側の文書「戦略学」を見る限りでは、
人民解放軍は驚くほど東アジアの海の問題に集中していない。むしろ、地上戦を重視しており、
空・海軍の役割は台湾侵攻と戦後統治に当たる陸軍の支援にこそある。
具体的には、(1)中国の最高の国家目的は台湾の全領域への侵攻・占領としている、
(2)国境紛争では大部分が対インド作戦について論じられており、島嶼問題もシーレーンも重要な優先順位を
与えられていない、(3)人民解放軍の地上戦力が台湾侵攻作戦で主要な役割を果たすと明確に位置付けている。
南シナ海のために中国が軍拡を行っていると考えるのは的外れなのである─。(以下略)
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