15/09/22 18:33:46.91
★【正論】民主党は鵺なのか? 「抑止力強化」立証の時を待て 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛
2015.9.22 05:01
9月16日、所用があって国会図書館に出かけました。ところが迂闊なことに休館日だったので、
国会正門の方へ回ってみました。午後5時半ごろでしたが「戦争反対」デモの群衆が集まって
いたからです。陽気なもので、一群がなぜか「起(た)て、飢えたる者よ、いまぞ日は近し」
とインターナショナルを高唱しています。もっとも飢えていない若者たちはこの革命歌を
知らないらしく、テキストと首っ引きでスピーカーから流れ出る合唱に合わせていました。
≪お祭り気分だった反対デモ≫
「倒せ! 安倍、NHK」なるプラカードもあります。それを掲げる若者に、安倍晋三首相を
倒せは分かるけれど、なぜNHKが打倒の対象なのかと尋ねると、受信料引き上げの動きが
あるからだとの答えでした。まるでミソもクソも一緒くた。お祭り気分です。「60年安保闘争」
当時の悲壮感は皆無でした。
55年前の反安保闘争は殺気立っていました。東大女子学生が死亡したほどですから。
反対デモの指導者も真剣そのもの。清水幾太郎、香山健一、志水速雄、西部邁といった人々
には今のデモ隊の参加者のお祭り気分が微塵(みじん)も認められませんでした。
だからでしょうか、運動が挫折すると彼らは悩み抜き、転向します。清水幾太郎が
1980年に書いた「日本よ国家たれ-核の選択」はその所産。類似例はまだまだあります。
しかし、転向するには時間と苦悶が必要です。同じように、「戦争法案」と呼ばれていた
ものがその実、正反対の「抑止力強化」法案であると判明するには、少なからぬ時間の
経過が必要でしょう。短くても5年。歴史はそのことを教えてくれます。
岸信介政権が結んだ日米安全保障条約の第10条には「…この条約が一〇年間効力を存続
した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告する
ことができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する」とあります。
つまり、1970年には条約が終了する可能性もあったのです。
≪政府が安堵した世論調査≫
ところがどうでしょう。10年後の70年に政府の「自衛隊に関する世論調査」が発表
されてみると、日本は安全確保の方法として「現状通り、(日米)安保体制と自衛隊で
日本の安全を守る」(補足は引用者)のがよいとする回答は断トツの40・9%を占めました。
因(ちな)みに「安保条約をやめて、自衛隊も縮小または廃止する」は9・6%どまり。
政府が安堵したことは言うまでもありません。
実はこれが安保・防衛についての初の政府世論調査でした。というのも、60年反安保闘争の
トラウマに悩む政府は、国民の反日米安保、反自衛隊感情の横溢(おういつ)を恐れて、
この種の世論調査を実施しようとはしなかったからです。が、この結果に勇気づけられて、
3年ごとの実施が定着しました。
この事実は何を教えているのでしょうか。時間の経過がことの当否を決めてくれます。
ただし時間は強情者で、圧縮して早送りという注文に応じてはくれません。5年は5年、
10年は10年なのです。だから安倍政権の新安保法制が「戦争法制」でないと立証されるまで、
われわれは5年、7年、10年と待たねばならないでしょう。 >>2へ続く
URLリンク(www.sankei.com)