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★被害者に口座凍結トラブル相次ぐ ヤミ金対策が裏目に 支援団体、国に申し入れへ
2015.9.4 11:24
ヤミ金の被害者が業者側と誤解され、口座を凍結されるトラブルが相次いでいることが4日、
被害者支援団体への取材で分かった。最近のヤミ金業者は新規融資の際、別の顧客に対し、
返済金を直接新たな融資先に送金させるため、業者の関係先と勘違いされることが原因という。
被害者の生活再建に大きな支障を来たすケースも出ているといい、支援団体は国に対策を
講じるよう申し入れる方針。
「自分名義の口座が作れないので就職できない」
ヤミ金被害者の支援団体「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会(通称・いちょうの会)」
(大阪市北区)によると、大阪府内の40代の女性は、もう3年も自分の銀行口座を
持てない生活を強いられているという。
平成24年、家賃の支払いに充てるためヤミ金業者から約2万円を借り入れた。
その際、振込先として銀行の口座番号を伝えた。
後日、銀行で現金を引き出そうとすると、現金自動預払機(ATM)が使えなくなっていた。
けげんに思っていると、ほどなく警察から「ヤミ金に使われた口座を凍結した」と電話があった。
無関係と説明したが聞き入れられなかった。確認すると、他の口座もすべて使えなくなっていた。
女性は同会にヤミ金の被害を相談し、給料が手渡しされる日払いの仕事をしながら
借金を完済した。だが、今でも口座を開設できず、生活は安定しないという。
■ ■ ■
同会によると、女性のケース以降も、同様の相談が複数件寄せられるようになった。
同会幹事で司法書士の前田勝範さんは「ヤミ金で金を借りた引け目や業者に対する恐怖から、
他人に相談しない被害者は多い。トラブルは氷山の一角ではないか」とみる。
なぜこんなことが起きるのか。
同会によると、ヤミ金業者は近年、新規利用者に貸し付ける際、別の顧客に対し、
返済金を新規利用者の口座に送金するよう指示する。振り込んだ顧客は、送金先がヤミ金業者の
口座と思い込んでいるため、高金利の被害を警察や弁護士などに訴える際には「ヤミ金業者の口座」
と説明することになり、凍結対象になるというカラクリだ。
いったん凍結されると影響は大きく、被害者としては当然、速やかに凍結解除してほしいところ。
だが、銀行関係者は「凍結は警察の情報に基づいて行っており、独自に解除するわけにはいかない」と話す。
警察関係者は「事案にもよるが、通帳とキャッシュカードを持参して、しっかり警察で経緯を
説明すれば解除はできるはずだ」と首をかしげる。一方で「『電話ではだめですか』という人もいる。
自分も何かの罪に問われるのではないか、という意識が働くのかもしれない」とも話す。
前田さんは「捜査上の理由などから、なかなか解除されないケースもある。多大な権利侵害を
生み出しているのに、有効な救済手段がない」と指摘。同会は今後、警察庁や金融庁に、
犯罪と無関係と分かった場合に速やかに凍結解除することなどの改善点を申し入れる方針という。
【ヤミ金対策】 平成15年、大阪府八尾市でヤミ金業者の取り立てを苦に夫婦ら3人が心中した
事件をきっかけに、取り立ての規制強化や罰則引き上げなどを盛り込んだ「ヤミ金融対策法」が
翌16年に施行された。被害額は16年の約348億円をピークに減少し、昨年は約97億円。
20年には「振り込め詐欺救済法」も施行され、同法に基づきヤミ金業者の口座凍結も行われている。
URLリンク(www.sankei.com)
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