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★福島に暮らす人々描いた映画、打ち切りから再上映へ
山田理恵2015年8月29日12時42分
過激派グループの関係者が映っていたとして上映が打ち切られたドキュメンタリー映画が、
再び上映されることになった。放射能の影響に不安を抱える福島の人たちを描いた
「A2―B―C」だ。監督自らが呼びかけ、9月上旬に自主上映が決まった。
放射線量計を身につけて屋外で遊ぶ幼児たち。「がんになって早く死ぬ」と苦笑いする児童たち。
「『ただちに影響ない』という言葉が嫌。何カ月後、何年後はどうなるのって思う」と不安を語る母親―。
映画「A2―B―C」は、米ニューヨーク出身で東京在住のイアン・トーマス・アッシュ氏(39)が
監督した。東京電力福島第一原発の事故直後から福島に通い、2012年9月から本格的に撮影を開始。
福島に住む人たち数十人へのインタビューで構成し、1年かけて完成させた。
14年5月から、東京の映画配給会社を母体にした上映委員会が、東京や大阪など全国9カ所で劇場公開。
その後も、全国約70カ所で市民グループが主催する自主上映会が続いていた。
だが、今年3月、上映委はホームページ(HP)上で上映の打ち切りと解散を宣言。HPは削除された。
上映委は中止の理由を明らかにしていないが、関係者や監督によると、映画に出た1人の女性と、
子どもの甲状腺を検査した福島県内の診療所が、過激派組織の「中核派」と関係があるという
指摘が外部から寄せられたからだという。
上映時間は全体で71分。女性はもともと県内に住み、原発事故後に「福島の子どもを守るという
組織の理念に共感した」として中核派のメンバーになった。映画では2分半ほどインタビューに応じ、
「福島県の人はもっと怒っていい。『怒っている人はみっともない。品良く生きよう』なんて
冗談じゃない。どうやって子どもたちに申し訳が立つのか」と泣きながら語っている。
診療所によると、診療所は中核派メンバーが中心となって設立を呼びかけ、全国の様々な団体、
個人の寄付によって12年末にできたという。映画では、この診療所で医師が子どもの甲状腺
検査をしている様子が1分半ほど映されている。
上映委側は「組織の宣伝に利用される恐れもある。自主上映する他の市民グループに迷惑が
かかる可能性がある」として該当部分のカットを提案。だが、指摘されるまで知らなかった
という監督は応じなかった。監督は「当時、国や県が信じられず、あの診療所を頼る母親が
現実としていた。中核派と分かった後でカットしたら、むしろ『やらせ』になると考えた」と振り返る。
監督は他の配給会社も数社回ったが断られたため、今年8月初め、HP
(URLリンク(a2-b-c.com)別ウインドウで開きます)を立ち上げて自主上映を募集。
9月6日に埼玉県の市民団体が上映することになった。
映画に出た人たちは、再上映の決定に安堵(あんど)する。
50代の女性は「あそこまで丁寧に不安を聞いてくれて、映像化してくれた監督は他にいなかった」
と言う。甲状腺の検査を実施する福島県立医科大から娘がしこりがあるという「A2」の判定を受けた。
もっと詳しく検査してくれる民間病院の紹介を頼んだが、断られ、不安に駆られていた時に
監督から取材の申し込みがあった。
「いま、県外の人に『福島はもう大丈夫でしょ』と言われることも多い。
でも、私たちの不安は撮影当時から変わっていない」
40代の女性の子ども2人は福島県立医大の甲状腺検査を受けたが、「しこりがない」と
判定された1人が3カ月後、民間病院で「A2」と判定されたという。
「映画は、あの当時の私たちの疑問、不安、生活を伝える大切な記録。私たちの声を特別だと思わないで欲しい」
監督は「福島の子どもがどういう状況に置かれているのかが、本来の映画のテーマ。
それを議論するきっかけになってほしい」と話している。 >>2へ続く
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