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★日本の離島は、周囲からの脅威に無策である 国境にある重要な島を無人にしてはいけない
安積 明子 :ジャーナリスト 2015年08月25日
四方を海で囲まれ、領海と排他的経済水域を含めて世界第6位の447万平方メートルという
広さを誇る日本。古くから海は、豊かな資源を提供するとともに、自然の国境として
外敵から国土を守り、または新しい文化を迎える玄関としての役割を果たしてきた。
だが昨今、日本の海は脅かされている。2014年には小笠原沖や伊豆沖の日本領海あるいは
排他的経済水域内で、中国船によって赤珊瑚が大規模に密漁された事件が相次いで発覚。
尖閣諸島周辺の我が国の領海内でも、中国公船の侵入事例が続いている。
■不十分だった離島の機能維持対策
そのような海に浮かぶ離島については、すでに海洋基本法で「我が国の領海及び排他的
経済水域等の保全、海上交通の安全の確保、海洋資源の開発及び利用、海洋環境の保全等に
重要な役割を担っている」と宣言し、離島振興法などでもその国家的役割や国民的役割に
ついて規定されていた。だがその重要性については認識されながらも、具体的な機能維持
についての対策は十分なものとはいえなかった。
たとえば142万人の人口を擁する沖縄県には沖縄振興特別措置法があり、年間1759億円もの
予算が付いている。12万人の奄美諸島についても奄美群島振興開発特別措置があり、
年間23億円が交付されている。だがその他の離島をすべて合計すると42万人の人口を擁するが、
年間13億円しか交付金を得ていない。しかもこの中には国境に接するために、
極めて重要な役割を担う離島もあるのだ。
そこで自民党の領土に関する特命委員会と離島振興特別委員会は、領海や排他的経済水域で
国境離島が有する活動拠点としての機能に注目して、「有人国境離島地域の保全及び特定
有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案」を作成。8月21日に
総務会の了承を得た。
同法案の内容は「有人国境離島地域」と「特定有人国境離島地域」を定め、前者を
「自然的経済的社会的観点から一体をなすと認められる2以上の離島で構成される地域、
および領海基線を有する離島であって、現に日本国民が居住する地域」と定義。
このうち「継続的な居住が可能となる環境の整備を図ることが地域社会を維持する上で
特に必要と認められるもの」を「特定有人国境離島地域」とした。後者については北海道、
東京都、新潟県、石川県、島根県、山口県、長崎県、鹿児島県に所在する71の離島が指定される。
「これは離島を無人化させない法律。国民がしっかりと定住することで、領海や排他的
経済水域を守り、ひいては国益を守ることを目的としている」と、法案の共同提出者の
ひとりで同党離島振興特別委員長を務める谷川弥一衆院議員は述べる。
谷川氏が地元とする長崎第3区には、壱岐や対馬など離島が数多く含まれる。
このうち1973年に無人化した葛島では、1997年に中国人の集団密航事件が勃発したこともある。
また韓国の馬山市(現・昌原市)は対馬を「韓国の領土だ」と主張して、2005年に「対馬の日」
を制定している。
さらに対馬では2012年、海神神社の国指定の重要文化財である『銅造如来立像』と
観音寺にあった長崎県指定の有形文化財である『銅造観世音菩薩坐像』などが韓国の
窃盗団によって盗まれるという事件が勃発。「私は第2次安倍内閣の文科副大臣として
外務省に働きかけ、韓国に返還を求めようとしたが、容易ではなかった」と、
谷川氏は述懐する。国境をめぐって阻む壁は、とてつもなく厚く高いのだ。 >>2へ続く
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