15/08/21 16:12:50.05
★米大物投資家、中国株を“投げ売り” 上海市場暴落、米国シフト強化へ
2015.08.21
米著名投資家のジョージ・ソロス氏(85)が中国を代表するIT企業を見限った。
同氏が率いるヘッジファンドが、米国の株式市場に上場する中国の電子商取引大手、
アリババ・グループ・ホールディングの保有株をほぼ全株売却したほか、同国の検索大手、
百度(バイドゥ)株も約8割手放したのだ。上海市場の株価が再び暴落モードに入るなか、
ニューヨークでも中国企業に対する視線は一段と厳しくなっている。
大手機関投資家が米証券取引委員会(SEC)に四半期に1度行う報告によると、
ソロス・ファンド・マネジメントは、アリババの保有株数を3月末時点の約444万4604株
(約3億7000万ドル=約460億円)から6月末時点に5万9320株(488万ドル=約6億円)
まで大幅に減らした。保有株の約98%を売却したことになる。
1999年にジャック・マー氏が創業したアリババは、企業間の電子商取引市場などを
手がけて成長し、ソフトバンクが筆頭株主を務めることでも知られる。
昨年9月にニューヨーク証券取引所に華々しく上場、株価は一時120ドルまで上昇した。
しかし、その後は下落基調をたどり、今年6月中旬以降の中国市場の暴落が下げに拍車をかけた。
今月12日には4~6月期の決算発表が予想を下回ったことを受けて、71ドルの上場来安値を更新、
公募・売り出し価格の68ドルに迫る場面もあった。
ソロス・ファンドは同じくニューヨーク市場に上場する百度についても保有株を35万8650株
から4万2800株と大幅に減らした。同社も中国景気の減速で7~9月期の売上高見通しが
予想を下回り、株価急落に見舞われている。
1960年代から投資ファンドを運営しているソロス氏の投資は世界経済を大きく揺さぶってきた。
その名を世界的に有名にしたのは、92年の「ポンド危機」だ。
英国の通貨ポンドが実態よりも割高に固定されていると考えたソロス氏は、ポンドを大量に
売り浴びせ、買い支えするイングランド銀行(中央銀行)を打ち負かして20億ドル
(約2480億円)ともいわれる利益を得た。英国はポンド危機を受けて変動相場制に移行し、
ユーロ導入を断念した。
ソロス氏は米経済誌フォーブスの2015年版世界長者番付では29位で、
資産額は242億ドル(約3兆円)にのぼる。
ソロス・ファンドは中国企業の株を大量に売った一方、米ケーブルテレビ大手のタイム・ワーナー
・ケーブルの株やSNS大手のフェイスブック、米国を代表する株価指数のS&P500に連動する
金融商品など、米国株を買っている。
ソロス氏の中国企業売りについて、中国経済に詳しい評論家の宮崎正弘氏はこう指摘する。
「中国企業に絶望したということだろう。ソロス氏には、情報公開や規制緩和で市場が
成り立つという信念があり、中国市場に批判的だ。アリババや百度は急成長しているIT産業で、
ニューヨークでも取引できるとあって、多少は有望と考えて投資していたのだろうが、
ここにきて見限ったといえるのではないか」
ソロス氏はこれまで中国経済に対してたびたび懸念を表明してきた。2012年10月に
「成長モデルが息切れしつつある」と述べ、成長が鈍化しているとの見方を示したほか、
13年5月には、高利回りの金融商品「理財商品」が、リーマン・ショックの引き金と
なったサブプライム・ローンと似ているとした。
昨年初めには、「中国の成長モデルはすでに力を失っている」と指摘した。
習近平政権は、7%の経済成長率を掲げ、4~6月期国内総生産(GDP)も目標と
同じ数字となったが、額面通りに受け止める市場関係者は少ない。習政権が唱える
「新常態(ニュー・ノーマル)」という安定成長路線の実現にも疑念が持たれている。
中国本土の株も波乱含みだ。18日に暴落した上海総合指数は19日も一時4%超急落、
取引終了にかけて急速に買い戻されてプラスに転じたが、政府系金融機関による買い支えの影がちらつく。
ソロス氏の警鐘は現実のものとなりつつある。
URLリンク(www.zakzak.co.jp)