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★【歴史戦 第12部 戦後70年談話(下)】「おわび」は原案から盛り込まれていたが…迷走した朝日報道
2015.8.16 05:07
戦後70年の安倍晋三首相談話発表から一夜明けた15日、新聞各紙は社説で論評した。
「この談話は出す必要がなかった。いや、出すべきではなかった。改めて強くそう思う」
こう断じたのは朝日新聞だった。社説では「談話発表に至る過程で見せつけられたのは、
目を疑うような政権の二転三転ぶりだった」と強調した。
だが、迷走したのは朝日の談話報道だ。朝日は9日付1面トップで、「安倍談話『おわび』盛らず」と報じ、
7日夜に安倍が自民、公明両党幹部に示した原案には「『おわび』に類する言葉は入っていなかった」とした。
ところが、一転して11日付で「『おわび』の文言を入れる方向で調整している」と伝えた。
産経新聞は10日付で「侵略」に言及するも謝罪に関する文言は「直接盛り込まない」とし、
12日付で村山富市首相談話を引用する形で「お詫びに言及へ」と伝えた。
政府高官によると、7月20日ごろに作成された談話の原案には「おわび」は盛り込まれていた。
「わが国は痛切な反省とお詫びの気持ちを表明してきた。こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」
「次世代に謝罪を続ける宿命を背負わせるわけにはいかない」
安倍はこの2つの決意を盛り込むことで「お詫び論争」に区切りをつけようとした。
安倍が与党との調整に入った8月5日以降も「この部分は何ら変わらなかった」(同高官)。
談話の閣議決定についても、朝日は6月23日付で「安倍談話、閣議決定しない方針」と書いた。
それが8月7日付で「首相一転 周辺に配慮」「安倍談話 閣議決定の方向」と、政府が軌道修正したかの
ように報じた。もっとも、6月下旬の段階で、政府中枢は「閣議決定する可能性は十分ある」と述べていた。
■悩んだ韓国「高度に設計された談話だ」
朝日と「おわび」などで同様の主張を繰り返してきた韓国の反応はどうか。
「物足りない部分が少なくないのは事実だ」
韓国大統領の朴槿恵(パク・クネ)は15日午前、日本による朝鮮半島統治の解放から
70年を記念する「光復節」の式典で演説し、70年談話について語り始めた。
朴は、日本の歴代内閣が侵略と植民地支配、元慰安婦への「お詫び」「反省」を歴史認識の
根幹としてきたと指摘した上で、談話についてこう続けた。
「歴代内閣の立場が今後も揺るぎないものであると、国際社会に明確にした点に注目する」
対日批判を抑制していることは明らかだった。
慰安婦問題についても「速やかに適切に解決することを望む」と言及したにとどまった。
「問題解決が関係改善の前提になる」とした昨年の演説に比べると、その差は歴然である。
戦後70年の安倍晋三首相談話に関し、14日夜に出された韓国与党セヌリ党報道官の反応が注目された。
「反省とお詫びなどに言及した点では意味のある談話だ」と一部評価したからだった。
日本専門家からも、韓国側が求めてきた4つのキーワード(植民地支配、侵略、お詫び、反省)が
曲がりなりにも全て含まれていた点は評価すべきだとの見解が相次いだ。
大統領、朴槿恵の演説の調整を続けていた大統領府の関係者は頭を抱えた。
「高度に設計された談話だ。分析が必要で世論も見極めなければならない」
結局、15日の演説まで公式見解は出なかった。
韓国メディアは談話を批判的に報じつつも、日韓関係は談話を超えて進んでいかなければならないとする主張を展開した。
東亜日報は社説で「安倍の恥知らずな歴史認識に失望と憤怒を感じる」と激しく批判しながらも、朴に注文をつけた。
「談話に失望したが韓日関係をさらに悪化させることが国益になるのか朴政権は熟考する必要がある」
>>2へ続く
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