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★「中国の鉄鋼需要伸びゼロに」かつての日本と類似 専門家予測
2015.8.10 07:25
今日の中国の鉄鋼業の置かれた状況は１９７３～７５年の日本の鉄鋼業と共通点が多い－。
こう指摘するのは経済産業研究所シニアリサーチアドバイザーの根津利三郎氏。
ともに２桁の経済成長率からその半分程度の成長率に移行しており、
日本の経験に照らせば「中国の鉄鋼需要の伸びはゼロになる」との見方を示す。
根津氏は通商産業省（現経済産業省）出身で鉄鋼業務課長を務めたほか、
２００６年からは経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）鉄鋼委員会の議長にも就いている。
ブルームバーグのインタビューに応じた根津氏は経済成長率が１０％と５％では
経済構造がまったく変わってしまうと言い、鉄鋼需要の伸びは半減するのではなく
ゼロになるとの見方を示す。「日本はそのことを認識するまでに十数年かかり、
本格的に設備廃棄を始めたのは１９８０年代後半だった」と振り返る。
「いずれ需要も盛り返すと甘い期待のもとに設備削減や構造改善を遅らせれば、
それだけ苦しみの期間が長引くというのは日本の経験から中国が学べることだ」
と指摘。一方で、中国の鉄鋼業界のほとんどは国有企業であるため、
市場原理が働かず過剰設備問題は長期に及ぶ可能性もあるという。
中国の過剰な鉄鋼生産はアジア地域の供給過剰を招いている。輸出採算の悪化に
つながるなど日本の鉄鋼業界にとっても悪影響は及ぶ。中国の供給過剰問題がいつ
解消に向かうのか。その動向に鉄鋼関係者の注目が集まっている。
根津氏によると、世界の年間鉄鋼生産能力２３億トンのうち中国が半分の１１億
６０００万トンを占めるという。実際の中国の生産量は８億トン程度であるため、
過剰設備は４億トン。日本の生産能力の４倍もの過剰能力があることになる。
業界団体である中国鋼鉄工業協会（ＣＩＳＡ）によると、２０１５年の同国の
粗鋼生産は８億７００万トンと前年比２％減となる見通し。１９９０年以来
となる２５年ぶりの需要減少が見込まれている。
米モルガン・スタンレーは２月、中国の粗鋼生産と需要が今年ピークに達すると予想。
１６年からは減少に向かうとみる。一方、英豪リオ・ティント・グループは３０年
までに約１０億トンに増えるとの見方を示している。
（ブルームバーグ Ｉｃｈｉｒｏ Ｓｕｚｕｋｉ、Ｍａｓｕｍｉ Ｓｕｇａ）
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