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★戦後70年談話に「お詫び」はいらない
重要なのは東アジアの「力の均衡」を守ることだ
2015.8.6(木) 池田 信夫
安倍首相が発表する戦後70年の談話について、政府は閣議決定して8月14日に発表する方針だという。
また例によって「侵略」や「お詫び」ばかり話題になっているが、そういう後ろ向きの話は、
戦後50年談話で終わった話だ。
過去の戦争を謝罪するより大事なのは、未来の戦争を防ぐことだ。国会では、野党は日本が
戦争を起こすリスクばかり問題にしているが、他国から攻撃されるリスクはどう考えているのか。
憲法を守って世界平和を願っていれば、戦争は起こらないと思っているのか。
■日本軍の最大の罪は中国に共産党政権をつくったこと
1995年8月15日に出された戦後50年談話(いわゆる村山談話)は、たまたま社会党の委員長が
首相になった時期に、彼の特殊な歴史観を反映して出されたため、それまでの政府見解とは
ニュアンスの異なるものになっている。
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、
植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と
苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の
事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを
表明いたします。
もちろんこの談話は閣議決定されたので、村山氏個人の気持ちを述べたわけではないが、
「植民地支配と侵略をお詫びする」という表現は、従来の政府見解を超えるもので、
自民党からは異論が出た。植民地支配について謝罪や賠償をした国はないからだ。
今回の首相談話についても有識者会議がつくられ、その座長代理である北岡伸一氏
(国際大学学長)は「満州事変以降の戦争は侵略だ」と言ったが、
最近は「おわびが足りないというのは日本のマスコミと韓国だけだ」と言っている。
中国は「歴史の直視」を求めているが、謝罪を求めているわけではない。
1964年に社会党の佐々木委員長が訪中して毛沢東主席に謝罪したとき、
毛は「謝る必要はない。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしてくれた。
これのおかげで中国人民は権力を奪取できたのだ」と発言した。
日本軍は満州から南下して国民党軍と戦ったが、10年以上の消耗戦で国民党は弱体化した。
もとは反政府ゲリラにすぎなかった中国共産党は、日中戦争を利用して国民党との内戦に
勝ったのだ。日本がお詫びすべき最大の罪は、アジアに巨大な共産主義国家をつくったことである。
■「侵略」はヨーロッパの既得権を守る言葉
侵略や植民地支配が悪だという考え方は、歴史的には新しいものだ。主権国家の概念が
できたのは1648年のウェストファリア条約だが、このときは国家と国家の戦争は合法だった。
しかし大小さまざまの国家が乱立していたので、その後も戦争が続き、19世紀初めの
ナポレオン戦争では全ヨーロッパが壊滅的な被害を受けた。
この戦争を終結させるために1814年に開かれたウィーン会議では、オーストリアの外相
メッテルニッヒが、イギリス、オーストリア、プロイセン、ロシア、フランスの5カ国の
協調関係を築き、大国の力の均衡で平和を維持するウィーン体制ができた。
このときも戦争は合法であり、侵略という概念もなかった。しかし19世紀後半、
ビスマルクがドイツ帝国を統一し、独仏戦争などで周辺諸国に領土を拡大し始めると、
ヨーロッパの力の均衡は崩れ、20世紀の第1次世界大戦に至る。
日本がアジアでやった戦争は、このときのドイツとよく似ている。第1次大戦には
明確な目的があったわけではなく、ドイツが他国を一方的に侵略したわけでもない。
偶発的な地域紛争がヨーロッパ全体に拡大しただけだが、結果的にはドイツが
全責任を負わされ、ヴェルサイユ条約で過大な賠償を課せられた。 >>2へ続く
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