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★【TPP交渉】障害は新薬データ保護期間と乳製品の関税をめぐる対立 立ちふさがったNZ
2015.8.1 21:42
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉がまたもや“空振り”に終わった。
参加各国とも今回の閣僚会合を「最後の会合」とする意欲を持って臨んだはず
なのになぜ大筋合意にこぎ着けられなかったのか。障害となったのは知的財産の
新薬データ保護期間と乳製品の関税をめぐる対立だ。土壇場で、ニュージーランド
が想定以上の難敵として、交渉を主導する日米の前に立ちふさがった。
「交渉の最終盤になると、最後のチャンスにできるだけ自分の要求をねじ込み
たいという思惑が働く」
甘利明TPP担当相は7月31日、閣僚会合閉幕後の単独記者会見でこう述べ、
大筋合意に至らなかったことに悔しさをにじませた。
ルール分野で最後まで交渉がこじれたのは、新薬の開発データ保護期間をめぐる
対立だった。国内メーカーに配慮して長く保護したい米国に、安価な後発薬を
普及させたいベトナムやマレーシアなどの新興国が抵抗を続けた。
そこに、オーストラリアが事態を複雑にした。オーストラリアは医薬品の価格
決定制度を独自に導入し、補助金も使って薬価を抑えている。後発薬の利用が
妨げられれば国の財政負担が増えると主張した。
米国も同盟国のオーストラリアは軽視できず、一時は譲歩に傾いたものの、
折り合えなかった。
オーストラリアのロブ貿易・投資相は共同記者会見で「合意に向けた妥協は
必要だが、合意は両当事者にとってメリットがなければならない」と強調した。
◇
2国間で進めてきた関税協議では乳製品の扱いがネックとなった。
ニュージーランドが世界最大の輸出品である乳製品の市場開放を求め、
日本やカナダに「過大」(甘利氏)な要求を突き付け続けたからだ。
日本は乳製品のバターや脱脂粉乳の低関税枠を米国、オーストラリア、
ニュージーランドに生乳換算で計7万トン弱設ける方向で調整したが、
ニュージーランドはこれを大幅に上回る規模を求めた。
自国の主張に固執するニュージーランドは会合前から問題視され、
交渉からの除外論も出ていた。
だが、ニュージーランドはTPPの前身である自由貿易協定(FTA)「P4」
協定をシンガポール、チリ、ブルネイと2006年に締結した、いわばTPP交渉の
「先発組」である。「TPPの設計者」ともいわれるニュージーランドのグローサー
貿易相には「TPPが後発組の日米に乗っ取られた」(交渉筋)との苦々しい思いが
あったようだ。
実際、グローサー氏は会見で、交渉からの脱退の可能性を問われ「交渉を離れる
というアイデアも大変興味深い提案であるが、ニュージーランドはそもそも
この交渉を始めた最初の国々の一つ。感情的に離れたいという気持ちにはなれない」
と存在感をアピールした。
◇
交渉は責任のなすりつけあいの様相も呈している。
米通商専門誌によると、オーストラリアのロブ貿易・投資相は自動車の原産地規則
などで歩み寄れていない米国、日本、カナダ、メキシコが交渉の「障害」と指摘し、
「残りの98%は決着がついているのに悲しいことだ」と嘆いてみせた。
「パズルのピースをはめ込むような作業」(交渉筋)とされるTPP交渉。
最後の1ピースでも1カ国が反対すれば、完成には至らない。甘利氏は次の会合での
決着に自信をみせたが、参加国の利害を限られた時間で解きほぐすのはたやすい
ことではない。(ラハイナ 本田誠)
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