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★安保法案強行採決に首相側近 「支持率下落は想定の範囲内」
2015.07.17 07:00
「数の力」で国会は強行突破できても、世論の反対を力で封じ込めることはできない─。
15日、安倍晋三首相は野党の抵抗の中、集団的自衛権行使を盛り込んだ安保法案を
衆院特別委員会で強行採決した。
その前夜から、国会周辺は不穏なムードに包まれた。東京の日比谷野外音楽堂で
開かれた反対集会には3000人収容の会場に入りきれないほど参加者が詰めかけ、
そのまま2万人(主催者発表)が「憲法違反だ!」「戦争反対!」と声を
あげながら国会へのデモに参加した。
大メディアは「政府は説明不足」と書き、閣内でも石破茂・地方創生相や
塩崎恭久・厚労相から「国民の理解はまだ進んでいない」と首相の姿勢に
疑問の声があがっている。だが、彼らもわかっていない。
現実は逆だ。国民の理解が深まっているからこそ、法案への不安が高まり、
反対運動の波が全国に広がっているのだ。新聞・テレビの世論調査でも、
安倍内閣の支持率は39%(朝日新聞)まで下がり、毎日新聞、NHK、NNN
(日本テレビ系列)でも不支持が支持を逆転した。
そのことを一番肌で感じているのは安倍首相自身だろう。だから国民の法案理解が
これ以上進むことに恐怖を感じて自民党議員にテレビ出演を禁じ、あえて説明不足の
状態のままなりふり構わず採決へと走った。
「強行採決への批判で支持率が5ポイントくらい下がるのは想定の範囲内だ。
法案を成立させさえすれば、国民も喉元過ぎればいずれ熱さを忘れる。
むしろ審議に時間をかけて反対論がさらに強まり、成立断念に追い込まれる方が
政権には致命的なダメージになる」(官邸の首相側近)
安保法案の審議はこれから参院に移る。参院でも自民、公明の与党が過半数の
勢力を持つ以上、首相が数の力で成立させることは可能だ。だが、本当の主戦場は
国会ではなく、安倍首相が戦う相手は世論そのものになる。首相にとっても、
国民にとっても「暑い夏」が来た。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2015年7月31日号
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