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★豪州政府、南シナ海の中国・人工島12海里に 航空機・艦船の進入を検討
2015年07月13日(Mon) 岡崎研究所
豪州紙Australianのグレッグ・シェリダン外交担当編集員が、6月4日付同紙で、
豪州政府が南シナ海で中国が造成した人工島の12カイリ内に航空機、
艦船を進入させることを検討中である、と報告しています。
すなわち、豪州政府は南シナ海で中国が造成した人工島の近辺において
「航行の自由」の意思表示をすることを検討中である。
あらゆる選択肢が検討されているが、最も有り得るのは、北マレーシアの
バターワースにある、かつての豪州の基地から空軍哨戒機P-3を飛行させる
ことのようである。人工島の12カイリ内を飛行するので、北京が反応する
ことは確実である。5月20日、米国は海軍哨戒機P-8にCNNのカメラを乗せて
フィアリー・クロス礁の上空を飛行させた際、中国は繰り返し退去を命じたが、
同様の反応が予期される。
豪州は既にルーティンとして南シナ海に哨戒機P-3を飛行させている。
アンドリュース国防相は、シャングリラ対話(アジア安全保障会議)で、
中国に埋め立てを停止するよう要請した。豪州には島の帰属について特定の
立場はとらないが、「航行の自由」は阻害されてはならないと主張している。
政府はまだ決定を行っていないが、慎重な検討の上、実行されることとなろう。
哨戒機P-3の飛行の方が容易に準備出来るので、海軍艦船の航行よりも先に行われよう。
しかし、2、3ヶ月のうちに艦船も人工島の12カイリ内を航行することとなろう。
艦船や航空機の派遣は米国主導のオペレーションの一環として行われるのではない。
艦船については、フィリピンあるいはベトナムの港湾への寄港の途次という形になろう。
北京が領海と考える海域を侵犯するために海軍を展開するということではなく、
別の目的のための航海の一部としてたまたま航行するということである。
それでも「航行の自由」の完全な権利を主張することになる。
豪州は米国や地域の関係国と緊密に連絡しており、米国の哨戒機P-8の飛行に
ついても事前に通報を受けていた。フィリピンおよびベトナムの艦船も中国が
造成した人工島の12カイリ内を航行している。日本やインドも同様の行動を
とることがあり得よう。米国も更なる飛行や航行を行うことはほぼ確実である、
と報告しています。
出典:Greg Sheridan,‘Flight exercises to test China waters’(Australian, June 4, 2015)
URLリンク(www.heraldsun.com.au)
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これは、興味深い記事です。豪州が南シナ海の問題に真剣に対応しようとしているのは、
大変心強いことです。「飛行の自由」「航行の自由」を守るという意思の表示および
一方的な領有権の主張の既成事実化は認めないという意思の表示のため、検討中の飛行と
航行が実行されることが期待されます。記事が言う、フィリピンやベトナムへの寄港の
途次にかすめ通るように人工島の12カイリ内を通過するというアイディアは、
よく考えられたものと思います。
南シナ海でどうやって意思表示の行動をするか、それに伴い、どういうリスクがあるか、
といった問題については、日米豪の枠組みでも検討したらいいのではないかと思います。
この記事がいうように日本にも同様の行動をとる用意があるとすれば、例えば、
海上保安庁の巡視船がマニラ港に向けて航行の途次、どこかの人工島の12カイリ内を
かすめるようにして通るということなどでしょう。問題は、それに対する中国の反応が
大変厳しいものになるであろうということです。中国側が報復として、例えば、尖閣諸島に
海警の船舶や漁船が大挙押しかける位のことはあると、覚悟してかかる必要があるの
ではないかと思います。
いずれにせよ、「飛行の自由」「航行の自由」を守り、一方的に現状を変更するような
行動は認めないという意思を表示するための行動に、一国でも多くがコミットしていくことが重要です。
URLリンク(wedge.ismedia.jp)