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★中国が民主主義導入を嫌う本当の理由 北京のレストラン事情から垣間見えた中国の真実
2015.7.8(水) 川島 博之
近代的なビルが林立してその間をたくさんの自動車が行き交っている。
その街並みは東京やニューヨークなど先進国の都市となんら変わるところがない。
北京は世界有数の都市になった。
中心部のオフィス街の地下にはサラリーマンが昼食を取る小奇麗なレストランが並んでいる。
一昔前は中国料理が中心だったが、今ではイタリア料理、日本料理などを提供する店も多い。
スターバックスやケンタッキーフライドチキンなどもある。
そこで普通に昼食を取ると40元から50元ほどかかる。1元を20円とすると800円から1000円。
もはや、北京の物価は東京と変わらない。ものによっては北京の方が高いくらいだ。
北京のオフィス街に店を構える飲食チェーン店の経営者の話を聞く機会があった。
その話から、中国が抱える深い闇が見えてくる。
■自分が働く店に、客としては入れない従業員
昼食時に訪ねたその店は、満員で入り口には行列ができていた。ところが、経営者の話を
聞いて驚いたのは、従業員の賃金の低さである。注文を取って料理を運んでいる人の月給は
1600元から2000元程度(約3万2000~4万円)でしかない。それは周辺のレストランでも
変わらないそうだ。ボーナスは年2回出されるが、支給額は年間で1カ月分の給料程度に
過ぎない。ただ、社員寮に住んで賄い飯がついているために、それでも何とか暮らせると言っていた。
アルバイトも雇っているが時給は16元(約320円)。バイトの場合には寮を用意する必要がなく、
社会保険を払う必要もないので、その分、安く済む。ただ、定着率が悪いために、
アルバイトを無暗に増やすことは難しいとも言っていた。
経営者は「店の従業員たちは休日などに、自分が働くチェーン店で昼飯を食べたことはないはずだ」
と言う。従業員たちには高すぎる。昼食の代金が3時間の労働の対価だとすれば、そんな昼飯は
食べないだろう。日本の飲食店で働いている人が3000円の昼食を取るイメージである。
それは他の店でも同じことで、レストランで料理を運んでいる人々の多くは、
その店の料理を食べたことがないという。
まあ、日本でも超一流の店であれば同じことが言えるかも知れない。だが、中国では昼飯時に
サラリーマンが行列を作るような店でも、その店で働く人は、自分が働く店の料理を食べることができない。
■都会のOLと出稼ぎ従業員の格差
それでは、店で昼食をとっているサラリーマンは、どれほど収入を得ているのだろうか。
店の経営者は、北京では大卒の初任給は3000元程度(約6万円)であるが、中心街のオフィスに
働く人々は1万元から2万元(約20万~40万円)はもらっているだろうと言っていた。
女性でも30歳ぐらいの人であれば、数千元はもらっている。そして、オフィスで働く女性の
多くは親元から通勤しているので、給料を小遣いとして使うことができる。独身貴族であるとともに、
都市戸籍を持っている。ここがミソだ。そんな彼女たちが小奇麗なレストランで昼食を取っている。
ここまでの話に、現代中国を理解する上で重要な情報が多く含まれている。
レストランで働いている人々は農民の子弟である。多くは高卒。北京には出稼ぎで来ている。
都市戸籍は持っていない。農民戸籍である。そのために、北京で働いても年金や医療保険の面で、
北京の戸籍を持つ人に比べて著しく不利になっている。
中国の人口は13億人だが、都市戸籍を持つ人は4億人、農民戸籍が9億人だ。9億人のうち、
都市に出稼ぎに来た3億人の「農民工」は、レストランなどの従業員として働いている。
その多くは若者である。農村には老人や子供だけが残されており、都市に比べて著しく貧しい。
中国で奇跡の成長の恩恵を受けたのは都市戸籍を持つ4億人だけである。農民戸籍を持つ
9億人は取り残されている。彼らは都市に出ても低賃金でこき使われるだけ。レストランの従業員に
なっても大した給料が得られないために、働いている店で食事をすることすらできない。そ
れは、昔の奴隷に近い境遇である。 >>2へ続く
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