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★【産経抄】7月4日
2015.7.4 05:03
まるで蜂の巣をつついたような騒ぎである。自民党の私的勉強会で報道機関に圧力を
かけるべきだとの意見が出た問題で、名指しされた沖縄の地元紙2紙の編集局長が
2日に記者会見を開いた。琉球新報の潮平芳和氏は「2紙だけの問題ではなく
全メディア、言論の自由への挑戦だ」と訴えた。
▼なるほど民主主義の根幹をなす表現、言論の自由は大切なものであり、
勉強会での若手議員らの発言は軽率のそしりを免れない。そうではあるが
、一連の新聞やテレビの興奮ぶりにはどこか割り切れない気分が残る。
▼平成19年に、沖縄県で沖縄戦集団自決に関する取材をした際の話だ。
匿名を条件に取材に応じた県議は、この件で地元紙の論調と違う意見を表明したところ、
地元紙記者から「また同じようなことを言ったらあなたをつぶす」と脅かされたと
証言した。政治生命を抹殺される恐怖を覚えたという。
▼かつて朝日新聞に、NHKの慰安婦番組に「介入した」と身に覚えのないことを
書かれた安倍晋三首相も、雑誌『諸君』(17年12月号)でこう述べている。
「与党の政治家でも、大新聞と闘う、事を構えるというのは大変なプレッシャーです。
(中略)多くの政治家がたじろぎ、すり寄ることに終始してしまう」。
▼メディアの重要な仕事の一つは権力の監視である。だが、メディアと政治家の
関係は、政治家イコール強者とはかぎらない。行政・立法・司法の三権になぞらえて
「第4の権力」と呼ばれるメディアに暴走の恐れはないか。
▼自民党の伊吹文明元衆院議長は、2日の派閥会合で与党議員の立ち居振る舞いを
厳に戒めつつ、メディア側に「お互いに権力の行使は抑制的でなければならない」
と呼びかけた。真摯(しんし)に耳を傾けたい。
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