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★【エルマウサミットの舞台裏(下)】「学級崩壊」変えたシンゾー流 メルケル首相「シンゾーの発言で締めくくろう」
2015.6.29 08:29
「サミット冒頭に基調発言をしてほしい」
安倍晋三首相は、ドイツ・エルマウ城で開かれた主要国首脳会議(サミット、G7)に
先立ち、議長のメルケル首相からこう打診を受けていた。
与えられたテーマは、(1)サミットでG7首脳が一堂に会する意義(2)アベノミクスの現状
(3)経済分野での中国への向き合い方-の3点。「セッション1」の討議の冒頭、
米国のオバマ大統領が世界のマクロ経済状況を短く語った後、安倍首相がこの3つの
テーマについて長めに発言する段取りだった。
ただ、事前におおよそのシナリオがある通常の首脳会談とは違い、
各国首脳の発言次第で展開が大きく変わるのがサミットだ。
「セッション1」開始直後にオバマ氏が「世界経済も米国経済も調子がいい。
ただ少しリスク要因もある」と述べると、欧州連合(EU)首脳が突然挙手して
ギリシャ債務問題について発言を求め、メルケル氏も指名してしまったのだ。
サミットは世界の主要国の国益が直接ぶつかり合う場であり、「各国首脳が議論の流れを
無視して割り込み、言いたいことだけ言うのはざら。次の発言者がそれに反論せず、
また違う主張をしたりする」(日本政府高官)という。今回も出だしから、誰も議論を
まとめようとしない「学級崩壊」(同)のような事態が起きてしまった。
欧州首脳を中心に「今後ユーロはどうなる」といった議論が延々と続き、安倍首相に
基調発言の順番が回ってくるまでに約20分がかかった。安倍首相は、自由や民主主義、
法の支配といった価値観をG7で共有することの重要性を説きつつアベノミクスの実績を紹介し、
最後に中国の問題点を指摘するというシナリオを描いていたが、全てをしゃべっていては
発言が間延びしてしまう。
「戦略を変えよう」
安倍首相は方針を転換し、基調発言では中国問題は取り上げず、ギリシャ債務問題を
意識して「日本経済がデフレから脱却することで世界経済に貢献する」という話で打ち切った。
もともと欧州首脳にとって中国は物理的に遠く、その膨張政策への関心は薄い。
夜のワーキングディナーで中国による南シナ海の岩礁埋め立て問題が取り上げられる
ことは決まっており、首相周辺は「首相はそちらで中国経済の話もしようと切り替えたのだ」
とみていた。
ところが、安倍首相がアベノミクスを詳細に説明したことで各国首脳が自国の成長戦略の
話をし始め、経済成長にあたっての腐敗対策の重要性の話題から、自然に中国へと
テーマが移っていったのだった。
自国の主張しかしない各国首脳と異なり、出席者同士の和を尊重し、話をまとめて
いこうとするのが日本流の議論の進め方だ。そんな安倍首相の姿勢が評価されたのか、
ワーキングディナーでは、デザートが出だした終盤に来て、メルケル首相がこう発言を促した。
「昼のセッションで『夜にシンゾーから中国と南シナ海の問題を聞こう』となっていた。
シンゾーの言うことにみんな反対はないのだから、シンゾーの発言で締めくくろう」
安倍首相は、南シナ海での中国の軍事的野心について詳しく説明し、
併せて北朝鮮やイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による
邦人殺害脅迫事件にも言及した。
議論をリードした結果、最終日に取りまとめられた首脳宣言には、
中国による岩礁埋め立てに関し「強く反対する」という文言が明記された。
「日本は経済が好調な上、安全保障法制でも新しいことをやろうとしているので一目置かれている」
安倍首相は今回のサミットを周囲にこう振り返る。来年5月の「伊勢志摩サミット」
での主導権確保に向け、さらに基盤を整えられるかが問われる。
(阿比留瑠比、桑原雄尚、千田恒弥)
URLリンク(www.sankei.com)
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